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「清宮不在」のキャンプ。熾烈な生存競争、野村佑希の本格化につながるか?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#218】

オフに積極的な補強を行い、戦力を見れば十分に優勝争いが期待できる。キャンプイン直前に清宮幸太郎が足首を負傷して出遅れ必至だが、逆にいえば他の選手にとってはレギュラーを獲るチャンスでもある。野村佑希もその一人だ。

2024/02/04

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産経新聞社



すべてのポジションが競合

 今季のチーム編成は大したもので、すべてのポジションが競合になっている。それだけお金を使ったのだ。逆に言えばレギュラーでおかしくない選手が各ポジションであぶれる。上川畑と奈良間と細川と石井一と加藤豪将のうち、3人は二遊間であぶれる。松本剛、淺間、江越、宮崎、五十幡、今川、スティーブンソンのうち5人は外野であぶれる。もしかすると郡司も捕・内・外のすべてであぶれる。生存競争が熾烈だ。そこに「清宮不在」というファクターが加わる。これは何をもたらすか?
 
 清宮は昨シーズンの起用を考えると「3番サード」という感じではないか。.244、10本の数字は迫力不足だが、選球眼がよく、大事なところで四球を取れる。返すバッターでなく、返ってくる走者として働きがあった。本人は今季、万波の上を行く「41本」を目標に掲げている。万波に続き、清宮が待望のブレイクを果たせばロマン満点だ。
 
 が、これで「3番サード」が空いたことになるのだ。サードでなければファーストと考えてもいい。オープン戦からシーズン序盤の時期、「3番サード」できっちり仕事をしてしまえば清宮の居場所が奪える。キャンプ初日の内野ノック、サードは野村佑希、ファーストには(外野登録の)レイエスが入った。
 
 僕にはどうとも言えない。たぶんファーストとDHはレイエスとマルティネスが分け合う感じかなぁと思うが、意外と郡司が割って入るかもしれない。サードは奈良間、石井一が入ることも考えられるが、球団の期待は断然、野村佑希の本格化だろう。守備力を不安視され、昨シーズン1塁に回り、ときに外野手をやらされたりしたことは(本人は口にはしないだろうが)屈辱だったろう。ノビノビやってる万波、マイペースの清宮と比べて、野村佑希はいつも苦しく、窮屈そうだった。
 
 キャンプイン時の「清宮不在」はもちろん決してチームにとって良いことではないけれど、もし、野村の本格化につながるきっかけになればすごいことだ。キャンプ1日目、2日目の野村はまだ慎重に打球の感触を確かめていた。
 
 ストーリーは既に始まり、次のストーリーを呼び込んでくる。チームの中心でオーラを放つ万波、リハビリを開始し「強くなって帰ってくる。絶対負けない」とSNSで発信した清宮、そして、千載一遇のチャンスを得て、ついに花開くときを迎える野村。僕は今、注目すべきはジェームス野村佑希だと考える。今年こそ満開の花を咲かせてくれ、サード野村!

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