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「清宮不在」のキャンプ。熾烈な生存競争、野村佑希の本格化につながるか?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#218】

オフに積極的な補強を行い、戦力を見れば十分に優勝争いが期待できる。キャンプイン直前に清宮幸太郎が足首を負傷して出遅れ必至だが、逆にいえば他の選手にとってはレギュラーを獲るチャンスでもある。野村佑希もその一人だ。

2024/02/04

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産経新聞社



レギュラー確約は万波のみ

 好天に恵まれ、2024シーズンの春季キャンプがスタートした。本稿執筆現在、第1クール1日目、2日目が終了したばかりでファーストインプレッション以上のことは言えないが、新人・新加入選手が目につき、また国頭では稲葉篤紀・新2軍監督がユニフォーム姿を見せる等、フレッシュなイメージが伝わってくる。名護で真っ先に目が行く新顔といったらレイエスだろう。196センチ、120キロの巨躯。1塁守備でノックを受けていたが、マルティネスよりひと回りデカい。とんでもない存在感だ。まだフリーバッティングは試運転というところだが、「メジャー108発の大砲」に期待が高まる。
 
 左投左打の外野手、スティーブンソンも見た。レイエスが28歳ならスティーブンソンは29歳、いちばん脂の乗る時期だ。こちらは大砲というより斬り込み隊長タイプだという。五十幡亮汰と一緒にセンターでノックを受けていた。ファイターズの外野は新人・宮崎一樹(いい肩してました!)も加わってかなりレベルが高い。ぜひ割って入ってもらいたいと思う。
 
 それから名護の新顔ではドラ2の捕手、進藤勇也が光っていた。「世代NO.1捕手」と鳴り物入りで入団した逸材だ。内野ノックで2塁送球を見たけれど、とてつもない強肩だった。いや、田宮裕涼の肩もハンパないと思うのだが、互角かその上を行く。
 
 が、新人・新加入を離れると、2024年の名護キャンプは断然、万波中正だ。存在感が違う。万波が動くとみんながそっちへ目を向ける。面白いなぁと思った。昨シーズン、結果を出して自信がついて、周囲の見る目が変わるとこんな風になるのか。新庄剛志監督から現時点で唯一、レギュラーが確約されている選手。球団期待の新スター。公約「ホームラン40本」の男。
 
 たぶん去年のキャンプでは松本剛がこんな感じだったと思うのだ。首位打者のタイトルを獲り、マスコミの注目を一身に集めた。近藤健介がFA移籍した分もチームの主軸であることを期待された。まぁ、俗にいう「ブレイク」ってやつだろう。輝きとかオーラというのは怖ろしいもので、本当にその選手が通ると空気がキラキラして見えるのだ。僕はこれまで何人ものスター選手の(しかも旬のタイミングの)オーラってやつを生身で体感した。そんなあいまいなもの実際にあるわけないと思っていたが、実際にキラキラ見えるのだ。びっくりした。万波は今、そんな感じだろう。
 
 野球人、万波中正のストーリーが今季、どう転がるのかは誰にもわからない。去年活躍した分、徹底マークされて苦しむことになるのか、更に一段ステップアップしてリーグの顔になるのか、どちらのパターンだってあり得る。ただ2月キャンプインの時期、沢山の視線を集める万波の姿はファイターズの希望そのものだ。この男がチームの真ん中にいるのだからきっとシーズンは楽しいぞと思える。
 
 一方、万波の存在感に対して、まったく逆の「不在感」を際立たせてしまったのが清宮幸太郎だ。キャンプ直前、左足首を負傷(左足関節捻挫、全治約5週間)し、国頭に松葉杖をついて現れた。当面、リハビリである。全治5週間ということは実質、春季キャンプは棒に振る。何というか運のない選手で、プロ入り後、脇腹を痛めたり骨折したり、春先に戦列離脱を繰り返している。万波の活躍を見て、今年こそは自分もと意気込んでいただろうに運命は残酷なものだ。まぁ、出遅れ確実だが、この時期でよかったとも言える。焦らず治して、万全の状態で帰ってきてほしい、チームには幸太郎の力が必要だ。
 
 但し、新庄監督が「(清宮は)置いていく」と評した通りのことがチームに出来(しゅったい)する。「清宮不在」は確実にチームバランスに跳ね返るだろう。本稿はここを論じたいのだ。

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