大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



Home » プロ野球最新情報 » 奈良間大己、打って評価をひっくり返せ。レギュラー獲りへ千載一遇のチャンス【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#205】

奈良間大己、打って評価をひっくり返せ。レギュラー獲りへ千載一遇のチャンス【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#205】

開幕前、今年のショートは上川畑大悟で固定だろうと予想するファンが多かった。しかしシーズンが始まると上川畑が打撃不振で苦しみ、二遊間が固定できない状態が続いた。だからこそ、今シーズン奈良間大己にとってはレギュラーを奪う大チャンスなのだ。

2023/08/06

text By

photo

産経新聞社



ベースを踏みわすれ、流れは相手に

 2日、ロッテ15回戦(ZOZOマリン)で印象深かったのは3回の攻防だ。
 
 試合は目まぐるしい展開だった。先制し、ロッテに逆転され、3回表、ファイターズ打線がつながって5対2と再逆転に成功、その裏のロッテの攻撃なのである。
 
 先頭の岡大海が死球で出塁、次の友杉篤輝はサード清宮幸太郎の落球で生きる、無死1、2塁で長打のある石川慎吾を迎えた場面。試合をご覧になっていた方は全員、非常にいやーな感じがしたと思う。
 
 「39年ぶりの13連敗」が明けて、チームに勢いをつけていきたいタイミングだ。連敗中はなかなか点が取れず、四苦八苦した。割合カンタンに先制点は奪うのだが、後が続かない。どうしてこんなに追加点が取れないんだろうと頭を抱えた。で、この日は珍しく打線がつながったのだ。5点も取ってしまった。こりゃ勝つしかないじゃないか。ところが直後に死球&エラーでピンチを招いてしまった。
 
 先頭を四死球で出し、エラーで塁を埋める。非常にまずいことだ。特に点を取った後はカンベンしてほしい。せっかく点を取っても、すぐ取り返されるチームは「試合の流れ」を失う。典型的な負けチームのパターンだ。点を取った後こそ、ピシャッと抑えて勝ち運を引き寄せたい。
 
 が、石川慎吾は球足の速いセカンドゴロを打ってくれた。僕はZOZOマリンの2階席にいたのだが、「よしっ!」と思わず声を上げていた。ゲッツーが取れると思ったのだ。セカンド加藤豪将はゴロをさばいてショート奈良間大己に送球、奈良間はステップを踏み、ランナー友杉をひらりとかわして1塁送球。この送球が逸れた。ゲッツーは取れなかった。1塁はセーフ。友杉だけアウトで、状況は一死1、3塁。
 
 だと思ったのだ。ロッテ吉井さんのリクエストが入った。友杉が本当にアウトなのかの確認だった。場内の大型モニターがシーンを再生する。どうもショート奈良間がセカンドベースを踏んでいるかどうかが焦点らしかった。僕は遠目にアウトだと思ったが、モニターの再生シーンを何度も見るうち自信がなくなった。一連のプレーのトントントーンというリズムを見ているとアウトだと思う。だけど、奈良間は本当にセカンドベースを踏んでいるのか。
 
 これがややあってセーフ判定になった。奈良間はベースを踏んでいなかった。ロッテ吉井さんはリクエスト成功。ファイターズは無死満塁のピンチを迎える。労せずノーヒットで満塁が作れてしまったロッテは勢いづく。山口航輝、中村奨吾のタイムリー、ブロッソーの犠飛で5対5の同点に追いついた。しかも、運のないことにファイターズは先発上原健太が負傷交代、新外国人マーベルのスクランブル登板を余儀なくされた。
 
 これは長い試合になるぞと観念したのだ。何かバタバタと落ち着かない試合だ。それにしても吉井さんのリクエストは効いたなぁと思う。日ハム先制→ロッテ反撃→日ハム再反撃(ビッグイニング)→敵失に乗じ、ロッテ猛攻と、試合の流れがあっちへ行ったりこっちへ行ったりしたけれど、ポイントのところに吉井さんのリクエスト成功がある。あれでワンアウト取れていたら「こっちへ行ったり」は止められていたかもしれない。ファイターズは点を取ってもすぐに追いつかれる繰り返し。

1 2