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びっくり仰天な郡司裕也、山本拓実の加入。「新時代」にふさわしい新戦力に期待【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#202】

中日との間で行われた2対2の電撃トレード。とりわけ今季、開幕スタメンでもあった宇佐見真吾の放出は大変驚いた。

2023/06/24

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産経新聞社



興味深かった梅林の昇格

 19日、交流戦ラストのDeNA戦当日だった。その日は雨で流れたハマスタの試合1試合だけが組まれ、ファンとしてはボーナスステージのようなおトク感があった。月曜日に野球があるのはいい。ベイスターズファンはその試合に勝って初の交流戦優勝を決めようと意気込んでいた。ファイターズファンは優勝阻止もあるけれど、それより交流戦勝ち越し(試合前の時点で9勝8敗、負ければ5割だった)、そして交流戦4連勝締めを目指していた。みんなゲームを心待ちにしていたのだ。そうしたら電撃トレードの一報が入った。
 
 宇佐見真吾、齋藤綱記 ⇔ 郡司裕也、山本拓実の2対2。びっくり仰天だ。中日は正捕手・木下拓哉が14日ロッテ戦で右手の大菱形骨骨折を負って戦線離脱が確定、即戦力捕手を緊急補強する必要があった。石橋康太と競い、レギュラーを奪取するクラスの捕手が取りたかった。齋藤に関しては中継ぎ左腕の強化のようだ。つまり、よりトレードを必要としていたのは中日の側であり、いちばんのターゲットは宇佐見だった。
 
 が、ファイターズファンからすると「宇佐見出しちゃうのか!」である。昨シーズン、正捕手にいちばん近いと目された選手だ。上沢直之との千葉県出身バッテリーは呼吸もピッタリで、さすが「小学生時代の上沢の写真に偶然、宇佐見が写り込んでいる」(本当の話!)だけのことはあると評判になった。バッティングに自信のある、いわゆる「打てるキャッチャー」だ。ももクロ高城れにさんとの結婚はスポーツ紙の1面を飾り、今季はパ・リーグの顔としても活躍が期待されていた。今季開幕戦のスタメンマスクは(FA移籍の伏見寅威ではなく)宇佐見がかぶったのだ。まさかトレードに出されるなんて思わないじゃないか。
 
 同じように齋藤綱記も意外だった。昨オフ、石川亮とのトレードでファイターズに加わったばかりなのだ。在籍実質3か月弱。まだファイターズのユニフォーム姿を見慣れてない。(トレード先の要望あってのこととはいえ)こんな短期間で出されちゃうんだなぁと思う。よくトレードの話題で「必要とされての移籍だから喜んでいい」みたいな言い方をするでしょう。こんな短期間だと『「必要とされて移籍」した人が必要とされて移籍する』という、二重構造になってしまう。個人的にも「齋藤綱記」という画数の多い名前をもっとコラムに書きたかった。
 
 しかし、宇佐見に関しては「あぁ、そういうことか~」と変に納得する部分もある。開幕から打撃不振に陥り、2軍降格の憂き目に遭っていた宇佐見は本来なら6月初旬、上に呼ばれておかしくなかった。8日の広島戦で清水優心がインプレー中にミットを外し、走者の生還を許すという大チョンボをしでかしたのだ。「気の抜けたプレー」を問題視され、清水は2軍落ちしたのだが、代わりにコールアップされたのは若い梅林優貴だった。あのとき、ファンは皆、「宇佐見じゃないんだ!」と驚いたと思う。梅林の1軍昇格は中日、木下骨折より時系列的には前の出来事だが、ファイターズ首脳陣の評価という点で興味深い。
 
 というのは宇佐見は手駒としては遊んでしまっている状態だったからだ。1軍の捕手は伏見中心だが、マルティネスを起用してみたら思ってた以上によかった。さすが中日で育成から日本野球を勉強してきた選手だ。それからもうひとつ、清水優心が頑張ったのだ。清水は今季、1軍出場は難しいかと思われていた。経験豊富な捕手のトレード要員として名前が上がるのは宇佐見ではなく、清水の方だった。が、わずかなチャンスにしがみつき、代打で結果を出し、伏見やマルティネスのバックアップもしっかりこなして次第に出場機会を増やしていった。だから、ミットを外す大チョンボは魔が差したとしか言いようがない。僕は今年の清水はプロ根性を見せてくれたと思っている。で、宇佐見の出番がなくなっていたのだ。

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