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日本一へ5回導いた名将が明かす『プロで活躍するための生命線』とは

福岡ソフトバンクホークスで監督して日本一に5回導いた工藤公康氏。「1年でも長く野球を続ける」「プロで活躍して、結果を残す」そのためのノウハウを『投手マニュアル』としてまとめ、現場で活用してきた。そのマニュアルを書籍化した『プロフェッショナル投手育成メソッド 一流選手へ導く“投球メカニズムとトレーニング”』から一部内容を抜粋して公開する。

2023/03/14

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産経新聞社



目線のブレが距離感を狂わせる

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 私が考える「良いフォーム」とは、下半身から体幹、上半身にかけての運動連鎖がスムーズに行われ、肩やヒジに過剰な力を加えずとも、自然に腕が振られるフォームである。このメカニックが毎球できていれば、おのずとストライクゾーンに投じる確率も上がっていく。
 
 さらに、ここにもうひとつ、重要なポイントとして「頭(クビ)を振らない」を付け加えておきたい。頭を振らずに投げている投手は、総じてコントロールが安定している。山本由伸投手のスロー映像を見てみると、その意味がきっとわかるはずだ。
 
 一方で、頭を振って、腕を振ろう、スピードを出そうとしている投手は、コントロールにばらつきが生まれる。重たい頭を振るということは、必ずどこかで動きのブレが生まれ、それが18.44メートル先のコントロールを乱すことにつながる。
 

 
 そのブレのひとつが、目のブレだ。頭を振るということは、目線が傾くことになる。目線が傾けば、おのずと視界が乱れ、距離感が乱れる。「狙ったところに投げる」という投手の重要な仕事を考えたとき、この体勢からコントロールを付けることができるだろうか。私は、絶対に無理だと思う。優れたリリース感覚があれば、ストライクゾーンの中には放れるだろうが、キャッチャーミットにビタビタ投げ込むコントロールを手に入れるのは難しいはずだ。
 
 感覚的な話になるが、コントロールに優れた投手は、優れた距離感を間違いなく備えている。「このぐらいのところでボールを離して、このぐらいの力感で投げれば、そこにいくだろう」。こうした感覚を、数多くのボールを投げることによって身に付けていく。目線が傾いた体勢で、距離感をどれだけ磨こうとしても、現実的には難しいのではないだろうか。
 
 コントロールに悩んでいるのであれば、頭を振らないこと、目線をぶらさないことを、意識してみてほしい。言い方を変えれば、「キャッチャーミットを見て、投げなさい」とも言える。頭を振る投手は、ミットを見て投げることができない。
 
 ただし、大人になってから、「頭を振らないで投げてみなさい」と言っても、すぐに直るものではない。ひとつのクセでもあり、子どもの頃から頭を振って投げているからだ。本気で改善を図りたいのであれば、それ相応の時間と根気強さが必要になる。
 
【書籍情報】
『プロフェッショナル投手育成メソッド 一流選手へ導く“投球メカニズムとトレーニング”』
(著者:工藤公康/192ページ/A5判/1900円+税)
 

 
投手として通算224勝、監督として5度の日本一
門外不出、名将の指導マニュアルが待望の書籍化!
 
理論から具体的なトレーニング方法、投球術までわかりやすく解説
「フォームの再現性」+「コントロール」
2つの技術習得こそ、プロの世界へ進み、生き抜くための絶対条件
※本書は18歳以上が対象です。
 
<目次>
第1章 投手に必要な3つの柱
第2章 ピッチングにおける運動連鎖
第3章 技術習得のためのトレーニングピラミッド
第4章 投手が走る意味はどこにあるのか?
第5章 オフシーズンとシーズン中のコンディショニング
第6章 試合で勝つための投球術
第7章 医科学をどのように生かすか
 
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