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【ドラ1の知られざる苦悩】元ダイエー大越基(3)甲子園で燃え尽き…早大を中退しアメリカへ

2022/10/17

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産経新聞社



甲子園の燃えつき症候群

 帰りの列車の中で、大越は竹田と「大学野球のレベルは大したことがないな」と話した記憶があるという。
 
 早稲田大学野球部にはスポーツ推薦入学の枠が二つあった。
 
「学科のテストと面接と小論文。学科は難しすぎて何も書けなかった。小論文だけは取らなきゃいかんと思って、対策を練っていったんです。すると問題文が5行とか7行とかあって、意味が分からないんですよ。とにかく書かないといけないと必死になって書きました。ずっと落ちるかもしれないと思っていたので、合格と聞いたときは不思議な感覚でした」
 

 
 ちなみに大越と共に合格したのは、常総学院の仁志敏久だった。
 
 早稲田に合格したという高揚感は長く続かなかった。
 
「入学式にも行きませんでした。早稲田の野球部って、春のシーズンが終わらないと野球部の寮に入れなかったんです。それで上石神井にアパートを借りて一人暮らしを始めました。まあ、練習はほとんど行かなかったですね。風邪引いたとか嘘ついて。完全に甲子園の燃えつき症候群ですよね。甲子園で準優勝して、何を目標にしていいのか分からなくなった。マスコミの人から次の目標を訊ねられて、オリンピックの日本代表として投げたいとか答えてましたけど、本当は全くそんなことは考えていない。目標がないまま日が過ぎていった」

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