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【ドラ1の知られざる苦悩】元阪神・的場寛一(4)「ぼくは出過ぎた杭になれなかった。実力がなかった」

2022/10/16

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産経新聞社



「ドラフト1位という、いい経験をさせてもらった」

 2012年、的場は社会人選手として現役を引退。一般社員としてトヨタ自動車の運動部の運営に携わることになった。その後、2014年7月から「アンダーアーマー」を扱う「ドーム」に転職した(※)。
 
 最後にこう尋ねてみた。
 
 阪神タイガースのような人気球団に逆指名1位で入ったことを後悔していないか。もしプレッシャーの緩い他の球団に入っていれば、選手として成功していたと考えことはないか――
 
 的場はぼくの問いに首を強く振った。
 

 
「それはたら、れば、でしょ。ドラフト1位という、いい経験をさせてもらったと思っています。精神的には動じなくなった。出る杭は打たれるけど、出過ぎた杭は打たれないって言うじゃないですか。それはホンマやと思います。プロ野球というのは、出過ぎないとアカン世界なんです。でもぼくは出過ぎた杭になれなかった。実力がなかったんです」
 
 阪神タイガースのドラフト1位だったから、こうして取材してもらえるじゃないですか。的場はそう微笑んだ。
 
※編集註:現在は、くつろぎカンパニー株式会社で代表取締役を務める一方、阪神時代の同僚である坪井智哉氏が監督を務める石狩レッドフェニックスで臨時コーチとしても活躍している。(的場氏のSNSより)

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【収録選手】
CASE1 辻内崇伸(05年高校生ドラフト1巡目 読売ジャイアンツ)
CASE2 多田野数人(07年大学生・社会人ドラフト1巡目 北海道日本ハムファイターズ)
CASE3 的場寛一(99年ドラフト1位 阪神タイガース)
CASE4 古木克明 (98年ドラフト1位 横浜ベイスターズ)
CASE5 大越基(92年ドラフト1位 福岡ダイエーホークス)
CASE6 元木大介(90年ドラフト1位 読売ジャイアンツ)
CASE7 前田幸長(88年ドラフト1位 ロッテオリオンズ)
CASE8 荒木大輔 (82年ドラフト1位 ヤクルトスワローズ)

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