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渡邉諒、打で示す存在価値。「直球破壊王子」の生きる道【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#179】

コロナ禍で一気に主力選手が抜けた7月。積極的なトレード含め、おそらく新庄ビッグボスが描いていた青写真は狂ってしまっただろう。そんな中、4月の故障発生以来、全く音沙汰がなかった渡邉諒が1軍に復帰した。

2022/08/06

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渡邉の力は間違いなく1軍クラス

 で、渡邉諒の話だ。僕は8月のソフトバンク戦、渡邉諒を1軍で見れて本当に嬉しかった。この話の流れでは、まるでなべりょがトレード要員だったみたいに聞こえるかもしれないが、何かそんなスポーツ紙か夕刊紙の記事を見て、僕は心配でたまらなかった。4月に右腿裏の肉離れをやって、それからぜんぜん姿が見られなかった。まぁ、僕は鎌ケ谷に行って、中島卓也や渡邉諒や高濱祐仁の様子を確かめていたのだけど。
 
 今年はアルカンタラ、水野達稀、上川畑大悟と3人の即戦力内野手を補強したシーズンで、レギュラー争いが熾烈になった。中島&渡邉がずっと下にいたのだ。言うまでもなく、去年までのレギュラー級だ。ファイターズ内野陣は守備力アップがテーマだった。エラーを減らす必要があった。ゲッツーが獲れる二遊間が作りたかった。
 
 例えばコロナ禍前、定着しかけていた「ショート上川畑、セカンド石井一成」のレベルを基準にすると、なべりょの守備力は一格落ちる。アルカンタラのセカンドよりも下だ。まぁ、僕はこれは(守備に難があった若き日の田中賢介のように)練習で補っていくものだと思っていた。が、今年いきなりハードルを上げられてしまったのだ。
 
 何年か前、僕は「サード渡邉諒」のイメージを持っていた。そのとき、僕が考えていたのは「ショート中島、セカンド石井」だ。セカンドでなく、反射神経で守れるサードに固定して打力を生かしたらどうだろう。が、サードには野村佑希が台頭したのだ。なべりょはセカンドで「直球破壊王子」として売り出すことになる。
 
 僕が新聞辞令のトレード話を見て、心配になったのはそこのところだ。守るところがないんだよなぁ。なべりょの魅力は打力だ。打つしかない。守備面の多少のハンデは目をつぶってもらうほど、打って打ちまくるしかない。それは高濱にも言えるのだ。高濱がレギュラーを獲るには清宮以上に打つしかない。
 
 渡邉は(高濱も)実戦経験があるから1軍で出せば働くのだ。それは直近のソフトバンク戦で見た通りだ。何とかする力がある。これはどう考えたらいいだろう。埋もれさすには惜しいのだ。市場に出すべきなのか。代打屋のような別の生き方を探るべきか。
 
 僕らは今季、松本剛のグレートカムバックを見た。いいですか、あんな選手が2軍でくすぶってたんですよ。選手は出場機会を得たらどんな飛躍をするかわからない。なべりょはこれから花開くんじゃないかな。僕は彼が大舞台で活躍するところが見たい。一世一代の勝負するところが見たい。
 
 この後、1軍に残っていけるのか選手らが戻ったら控えにまわるのかわからないけど、なべりょは間違いなく素晴らしい選手だ。絶対こんなもんじゃない。期待している。
 

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