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【2022ソフトバンク・戦力分析】二塁手と中堅手のレギュラー不在が課題も、一定の対策は打てた

2022/03/17

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DELTA・竹下弘道



4.今季の選手供給の見込みは?

 ここまでに論じた補強ポイントを踏まえて、ソフトバンクが新しい選手をどれだけ用意できるかを見ていきたい。一軍に選手を供給する手段は、①二軍から選手を引き上げる、②ドラフトで獲得する、③国内外の他チームから獲得する、の3つだけだ。それぞれの手段について、どのような選手供給が見込まれるかを見ていこう。
 
 まずは二軍だ。二軍において得失点差への寄与が優れる選手は、一軍でも得失点差を改善する見込みが強いと言える。ここでは2021年の二軍において、各選手が得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを調べた[4] (図5)。グラフは縦軸が得失点差への寄与、横軸が年齢を表しており、優秀でなおかつ若い左上の選手は将来的な一軍定着を期待しやすい。
 

 
 外野手で好成績を残しているのが24歳の柳町達と、20歳の水谷瞬である。この中で柳町は中堅手タイプの外野手だ。選球眼に優れていて出塁率が高く、守備指標UZRも中堅で標準以上の成績を残している。一軍へ中堅手を供給できるとすればこの選手となるだろう。
 
 また、水谷は両翼タイプながら優秀なUZRをマークしている。打者としても長打力に優れる総合力の高い外野手である。中堅での起用実績は少ないが、守備力は優れていると見られるため中堅手への抜擢を検討してもよいかもしれない。
 
 二塁手の底上げという観点では、24歳の川瀬晃も候補となる。持ち味の遊撃守備は一軍トップレベルにあり、苦手としている打撃も昨季は大きな改善が見られた。二塁守備に適応できれば守備でプラスを大きく稼げる可能性がある。

 次はドラフトを見ていこう(図6)。育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なので、支配下契約の選手のみを見ていきたい。
 

 
 補強ポイントに対して、中堅手は2位の正木智也、二塁手は4位の野村勇と即戦力選手を確保できたかたちだ。正木はアマチュア時代の実績では両翼型の外野手だが、キャンプを見るにフロントは中堅でも起用可能と判断しているようだ。
 
 最後に補強を確認する(図7)。こちらも育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なため、支配下契約の選手だけを見ていく。
 

 
 補強ではFA権を行使した救援投手の又吉克樹を獲得。加えて、外国人枠を使って投手のタイラー・チャトウッドとコリン・レイ(昨季途中退団からの再契約)、遊撃手のフレディ・ガルビスを獲得している。
 
 ガルビスはMLBで2020年まで遊撃手レギュラーの地位にあった選手で、一線級に近い遊撃手が来日する珍しいケースと言える。今季の新外国人の中では年俸が最高額であり、最大の大物と言えるのではないだろうか。二塁手と三塁手でも出場実績があり、二塁手の底上げだけでなく、三塁手のバックアップ要員としての働きも期待できる。

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