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菊池雄星の好投の理由は? ゾーン勝負の新スタイル、手元で変化するストレートが奏功【雄星リポート第22戦】

シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が26日(日本時間27日)、本拠地でのデトロイト・タイガース戦に先発し、7回途中まで投げて7安打2失点と好投した。勝敗はつかなかったものの、9安打7失点した前回登板の良い部分を引き継ぎ、復調の兆しを見せた。

2019/07/29

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右打者に食い込む速球光る

 
 5回7失点で降板した前回のリポートで、球数の少なさを取り上げた。
 「打たれている割には球数が少ない」という論調で書いたが、そこに彼の変化を感じる部分があったからだ。闇雲なストライクゾーン勝負をしているというより、方向性としてのストライクゾーン勝負。目指しているところにコントロール良く投げられるかが重要で、結果的に打たれはしたが、菊池の意図を大きく感じる試合だった。
 
 この日、その方向性が目指しているところにほぼ投げられていた。
 ストレートとスライダーを軸としていながら、チェンジアップとカーブを挟んでいく。右打者にはインコース高めを強気で攻め、ストレートの投げミスはほとんどなかったといってよかった。前回同様、右打者の懐に食い込み気味に投げ込んでいくストレートは光っていた印象だった。
 
 1回表の先頭・ジョーンズは初球のストレートでセンターフライに打ち取った。ストレートを狙ってきた打者に対してのやや食い込んだ分、差し込んだ結果だった。通常とは異なる軌道が今の彼の持ち味かもしれない。
 
 2、3回にソロを放り込まれて2点を失ったものの、4回以降、彼のピッチングを助けたのはストレートだった。
 
 5回表、無死からの連打で一、二塁のピンチを招いたものの、8番・ヒックスをセンターライナー。二塁走者が飛び出しダブルプレー。ヒックスの打球は抜けたかに見えただけに幸運なものに見えたが、菊池のストレートが打者の手元で微妙に変化して打球の勢いを喪失させたのはいうまでもない。
 
 遮二無二にフォーシームを投げ込んでいくスタイルからの変化は前回から続くいい兆しといっていいだろう。
 
 もっとも、ホームランを浴びた際のコントロールミスは命取りになる。
 2回表、ディクソンに浴びた一発は、カーブとスライダーの中間のようなボールで意図していたものとは大きく違っていた。2本目のヒックスにソロ本塁打を浴びたストレートは悪くなく、これは打者を褒めるしかないが、欲を言えば、やや腕を振りきれなかったあたりは課題としなければいけない、
 
 とはいえ、全体を通してみれば6回2/3を投げて85球にとどめた。
 指揮官のサービス監督が7回2死から三塁打を浴びた菊池を降板させたのは、もう1点を与えることがチームにとっても、好投の菊池にとってもマイナス要素が大きいと判断したからだろう。
 
 結果的にこの交代が功を奏したのだが、菊池は大いに手応えを感じたに違いない。
 
 ストレートに問題はない。今後、食い込むストレートとフォーシームの使い分けをできるようになれば、さらなるクオリティピッチングが期待できるだろう。加えて、チェンジアップの比率を増やすことでも打者を打ち取る幅は広がるのではないか。
 
 進歩を見せた85球。前回登板のいい部分だけを引き継いだ好投は、3試合ぶり10度目のクオリティスタートをマークした。
 
 
氏原英明