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殿堂入り故ハラデイ氏夫人が涙のスピーチ「彼一人の力ではけっして彼がなりたかった野球選手にはなれなかった」

2019/07/24

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 米国野球殿堂入り式典が7月21日(日本時間22日)、ニューヨーク州クーパーズタウンで行われた。今回、新たに殿堂入り選手に選出された1人に故ロイ・ハラデイ投手がいる。ハラデイ氏は引退後の2017年に、自身が操縦した飛行機事故により40歳で早世。この日の式典にはブランディ・ハラデイ夫人が出席した。
 

 ハラデイ氏は1998年から2013年までに渡った16年間の現役生活において、トロント・ブルージェイズとフィラデルフィア・フィリーズに所属。通算203勝を挙げ、2度のサイ・ヤング賞を受賞し、オールスターに8回選出された。壇上でロブ・マンフレッドMLBコミッショナーがハラデイ氏の業績を紹介し、ブランディ夫人は式典出席者と観衆から総立ちの拍手を送られ、続いて涙ながらのスピーチを行った。
 

 以下はブランディ夫人のスピーチ抄訳。
 

「こんなに大勢の人がここに来てくれたことが未だに信じられない気持ちです。本当にありがとうございます。これは私のスピーチではありません。ロイが生きていて、この場所にいたら、彼がきっと言っただろうと私が思うことを、彼の代わりに皆さんに精一杯お伝えします」
 

「ロイに生まれついての才能があったことは間違いありません。ですけど、皆さんがいつもロイを無条件で支えてくれなかったとしたら、彼一人の力ではけっして彼がなりたかった野球選手にはなれなかったでしょう」
 

「ロイは素晴らしい成績を挙げた年もありましたが、成績が振るわなかった年もありました。それでも皆さんはずっとロイのことを見捨てずに応援してくれました。
 

息子のブレイデンとライアンと相談して、この式典にはブルージェイズとフィリーズのどちらの帽子もつけないことを決めました。そのことを伝えると、どちらの球団もすくに私たちに連絡をしてくれて、私たちの決断を祝福してくれました。
 

ロイはきっと、今日この場所に私たちと一緒にいます。彼が生きていたら、同じ決断をしていたに間違いありません。何よりも、両球団の皆さんには私たちがどれほど感謝しているか、これからも感謝し続けるかを知ってほしいと願っているでしょう」
 

*筆者注:長男ブレイデン氏は18歳で野球選手。今秋からペンシルベニア州立大学に進学が決まっているが、ブルージェイズは2019年のドラフトで父の背番号にちなみ32巡目で指名した。
 

「もしロイが生きていたら、この殿堂入りについてどのように感じたと思うかと何回も人に聞かれました。勿論、彼は大変な名誉だと思ったでしょう。そしてロイだったら、この名誉と称賛をすぐにコーチとチームメイト全員と分かちあったと思います。彼は毎日球場に行って、チームの勝利のためにすべてを捧げるための準備を怠らない選手でした」
 

「ロイはきっと彼が野球で成し遂げたことより、彼がどんな人間であったかを覚えてほしいと願っているでしょう。ロイは少し内気なところがあり、口数は多くありませんでした。だけど、とても優しく、思いやりのある人でした。友達にお金を貸すときに、わざと負けるような賭けをする人でした。妹に洗濯を頼むときには、わざとポケットにお金を残しておいて、何か見つけたら取っておいていいよと言う人でした」
 

「ロイは皆さんに完全な人間はいないことを知ってほしいと願うでしょう。私たちは不完全で、ときには道に迷います。しがみつき、挑み続け、あきらめないことで、私たち不完全な人間が完全な瞬間を迎えることがあります。ロイにもそんな瞬間がいくつかありました。それが可能だったのは、ロイ自身の努力とチームメイトの力、そして彼の周りにいたすべての人たちのおかげなのです」
 
 

角谷剛