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【MLB】飛びすぎるボールの“被害者”たちが真実公表を求める「明らかにおかしい」「まるでホームラン・ダービー」

2019/05/07

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ステロイド時代を超える本塁打ペース

 かつてないペースで本塁打が量産されている今シーズンのメジャーリーグ。その背景には飛びすぎるボールの存在があるのではという疑念はもはや公然の秘密と言っても過言ではない。米国の大手新聞「USAトゥデイ」は5月2日付の特集記事で、いかに今シーズンのMLB全体で本塁打が乱発し、さらに打球の飛距離が増しているかを述べ、さらに本塁打を打たれる側の投手達からそのことについてのコメントを集めて紹介した。
 
 記事のタイトルは「Is MLB’s ball juiced?」(MLBのボールは水増しされているのか?)で始まる強烈なものだ。“juiced”とは俗語で、「興奮した」、「酔っぱらった」などの意味があり、さらにはステロイドで筋肉を膨らませることも指す。
 
 それほどまでに、今シーズンの本塁打数は異常事態と言ってよい。開幕後の3月と4月でリーグ合計の本塁打数は1144本で、史上最多である。1試合平均の本塁打数は2.62本となり、これは昨シーズンの12.2%増にあたる。過去最多のリーグ合計本塁打数は2017年の6105本だが、今シーズンここまでのペースでは6500本に近くなるという。
 
 かつてステロイドの時代と呼ばれた1990年代後半から2000年代前半をも上回るペースで本塁打数が激増した結果、当然ながらも個人の成績にも大きな影響が生じている。現在16人の選手が年間40本ペース、4人の選手が60本ペース、そしてコディ・ベリンジャー(ロサンゼルス・ドジャーズ)とクリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)は70本以上のペースだ。
 
 今シーズンからメジャーと同じボールを使い始めた3Aでは、1試合ごとの平均本塁打数が昨年の1.74本から今シーズンは2.56本に増えた(47.1%増)という興味深いデータもある。
 
 さらには、本数が増えているだけではなく、打球飛距離の伸びも目立つ。MLB公式解析ツール「Statcast」によれば、今シーズンここまでに441フィート(約134メートル)以上の本塁打が50本、450フィート(約137メートル)以上の本塁打が26本出ている。
 

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