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12年479億円、8年287億円、6年187億円…巨額の契約延長が相次ぐ理由とは? MLB契約事情に変革期到来

2019/03/27

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 フリーエージェント(FA)市場がすさまじい停滞ぶりを見せ、幾人もの大物選手が”無職”で開幕を迎えようとしている一方、有望な選手たちは次々と巨額の契約延長を手にしている。この一週間でなんと11人もの選手が所属先と新たな契約を結びなおす異例の事態。MLBのチーム作りのセオリーは大きく変わりつつある。
 
 今オフ、FA市場は近年同様停滞。最大の目玉となったマニー・マチャド内野手、ブライス・ハーパー外野手らの契約がなかなか決まらず、あおりを受けるように他の選手たちも所属先が決まらない時期が長く続いた。特に、長期間・高年俸を求めるベテランには厳しい状況で、昨季ボストン・レッドソックスの守護神として世界一に大きく貢献したクレイグ・キンブレル投手、ヒューストン・アストロズのローテーションの中核ダラス・カイケル投手も無所属のまま開幕へのカウントダウンだけが続いている。
 
 MLB球団がFA選手を敬遠する理由とはいったいなんだろうか。FA選手の獲得には、高額な年俸の他に、時に10年を超えるような長い契約年数が必要となる。FA取得には6年のメジャー在籍が必要となるため、取得時にはすでに最盛期終盤、もしくは能力が下り坂に入る年齢に達していることも多いのだ。
 
 しかし、選手たちは長期間の契約を望むケースがほとんど。契約が全ての”契約社会”であるMLBでは、実績のある選手でも実力が伴わなければ容赦なく解雇、マイナー落ちとなる。たとえば、長年活躍したベテランのトロイ・トロウィツキー内野手は怪我に泣き、今季は最低年俸でニューヨーク・ヤンキースと契約。守備の名手として鳴らしたホセ・イグレシアス内野手は29歳ながらマイナー契約という厳しい現実を突きつけられた。
 
 このような状況において、「最盛期前~最盛期が終わる頃」の期間の契約を、なるべく低年俸で結びたい球団と、リスキーなFAを待つよりも、とにかく安定が欲しい選手たち。各々の希望が折り合う地点が、「所属チームとの契約延長」というアイデアだ。

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