大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



Home » ニュース » レイズ、本拠地が5000人の観客席数削減を発表 先覚的な「親密」改革で他球団に影響も

レイズ、本拠地が5000人の観客席数削減を発表 先覚的な「親密」改革で他球団に影響も

2019/01/05

text By

photo

Getty Images



2027年までリース契約。移転先が決まるまでの暫定的な改善案

 タンパベイ・レイズは4日(日本時間5日)、2019年シーズンから本拠地であるトロピカーナ・フィールドの最大観客席数を5000席以上削減すると発表した。
 
 同球場は、1階席に高価格の席を増やす一方で、上階にある席を閉鎖する方針。結果として、トロピカーナ・フィールドの最大観客数は2万5000~2万6000人になると見られる。
 
 削減前の現在でも、トロピカーナ・フィールドはメジャーリーグ本拠地球場では最小規模である。削減後の観客席数は他の全ての球場と比べて最低でも1万人以上少なくなる。
 
 長い期間に渡って、レイズの観客動員数はメジャーリーグの最下位レベルで低迷している。2018年はマイアミ・マーリンズが歴史的な落ち込み(平均観客数1万0013人)に陥ったことでリーグ最下位こそ免れたが、レイズの平均観客数もワースト2位の1万4258人。フロリダにある2球団で観客動員数ワースト1、2位の不名誉な記録を作ってしまっている。
 
 来シーズン以降もこの傾向が続くようであれば、削減後も最大2万5000人収容のスタジアムで平均観客数1万5000人と約6割しか席が埋まらないことになる。
 
 レイズ球団社長のマット・シルバーマン氏は、「この改装はトロピカーナ・フィールドに一流のファン体験を提供するための我々の継続的な努力の一環だ。今回の投資によって、観客席数を削減すると同時に、より親密で楽しい野球観戦を実現する」と語っている。
 
 元々レイズがトロピカーナ・フィールドと結んだリース契約は2027年までとなっており、それまでに新たな本拠地球場を探していることは以前から公表されている。今回の決定は、移転先が決まるまでの暫定的な改善案と見ることは出来る。
 
 一方で、観客動員数の低下はレイズだけではなく、メジャーリーグ全体にも言えることで、昨年度のリーグ全体の平均観客数は3万人を下回っている。
 
 前年比で4%減り、2003年以来の低い数字となった。どの球団も従来のチケット販売収入に頼った収益構造の見直しを迫られており、レイズの思い切った高価格化路線を他球団が追随する可能性もまた否定できない。
 
 レイズは昨年から試合序盤を救援投手に託し、2番手に従来の先発投手が投げる「オープナー」と呼ばれる斬新な投手起用策を採用している。さらには傘下マイナーリーグでブレンダン・マッケイ内野手とタナー・ドッドソン外野手の2人を投打二刀流で育成する方針を堅持している。
 
 観客数こそ低迷していても、野球の現場ではレイズは他球団に先駆けて思い切った新しい試みを次々と行ってきた先覚的な組織だ。そして今回の観客数を削減するという措置もまた、他球団に影響を与え、メジャーリーグに新たな傾向を作ることになるかもしれない。