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大谷の新人王獲得に追い風か 最有力候補の守備はMLB最低レベル。セイバーが“丸裸”に

2018/09/09

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Getty Images



本人は無関心も…ドミニカ共和国紙が“アキレス腱”を指摘

 MLB公式サイト『MLB.com』は4日(日本時間5日)、現時点でアメリカン・リーグの新人王争いにおいて、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手は3位につけていると分析する記事を掲載。そして、1位と2位にはニューヨーク・ヤンキースのラテンコンビ、ミゲル・アンドゥーハーとグレイバー・トーレスの両内野手がそれぞれランク付けられた。
 
 日本のファン、メディアが大谷の新人王獲得をプッシュするように、ドミニカ共和国のメディアも同国出身のアンドゥーハーの受賞に注目している。そんな中、ドミニカ共和国紙『ディアリオ・リブレ』は、現時点での新人王最有力候補アンドゥーハーの“アキレス腱”を指摘する。
 
 アンドゥーハーは現在23歳。昨季メジャーデビューを果たしているが、5試合のみの出場にとどまっており、今季が実質的な初のフルシーズンでのプレーとなっている。9月7日(日本時間8日)終了時点で、打率.296、23本塁打、76打点という堂々たる成績を残し、トーレスや大谷というライバルを尻目に唯一規定打席にも到達しており、打率ランキングでも11位につけている。
 
 一見、文句のつけようのない成績に思えるが、上述紙は「アンドゥーハーの守備力が、新人王受賞をややこしくさせている」という記事を掲載している。名門ヤンキースのホットコーナーを守るアンドゥーハーだが、お世辞にもその守備力は高いとは言えないのだ。
 
 ここまで250という守備機会で15失策という数字を残しているが、同紙は「セイバーメトリクスは、アンドゥーハーの惨めな守備力を丸裸にする」とコメント。セイバーメトリクスで守備力を評価する、DRS(守備防御点:各ポジションの平均と比較し、どれだけ失点を防いだかを示す指標)、UZR(アルティメット・ゾーン・レーティング:DRSと並ぶ新型守備指標)という2つの指標で、アンドゥーハーはMLB全30球団のレギュラー三塁手の中でも最低レベルにあるのだ。
 
 アンドゥーハーのDRS-24、UZR-13.2という数字は、三塁手部門でMLBトップの数値を叩き出すマット・チャップマン(オークランド・アスレティックス)のDRS+27,UZR+12.4と比較すると大きな開きがあることがわかる。これは、チャップマンが平均的な野手に対して、27点の失点を防いだという評価に対し、アンドゥーハーの守備で24点も相手に得点を許したという見方になる。ちなみに、主にセカンドを守るトーレスは、DRS値0.0、UZR値-5.2とごく平均的なランクに位置している。
 
 そのアンドゥーハーは、ドミニカ共和国紙『リスティン・ディアリオ』の直近のインタビューで「正直なところ、誰が新人王を獲るかというのはどうでもいいことだ。僕はチームがポストシーズンに進出するために、チームの力になりたいんだ」と新人王争いについては関心がないことを公言している。
 
 新人王争いもいよいよ最終コーナーに向かおうとしている。シーズン通して高い打撃力で貢献しているアンドゥーハー、攻守で安定感のあるトーレス、二刀流インパクトの大谷と、三者三様の個性を持っている。ドミニカ共和国メディアが危惧する、アンドゥーハーの低い守備力は、投票者の目にどのように評価されるのだろうか。トップを走るアンドゥーハーにも穴があるということで、猛烈な追い上げを見せる大谷にもまだまだチャンスは残されているようだ。