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100万円以下の年収がさらに…苦境のマイナーリーグ。トランプ政権の追認でより過酷に?

 想像を絶する金額の契約が連日報じられるMLBだが、その舞台を目指すマイナーリーガーの環境は過酷だ。これまでも年収100万円以下という選手も少なくない状況だったが、米政府の追認によってさらに過酷な状況に追い込まれる可能性が浮上している。

2018/03/25

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マイナーリーガーは賃金規制対象外に

 3月22日(日本時間23日)に1兆3000億ドル(約136兆円)の包括的な歳出法案が米下院で可決された。23日(同24日)の深夜までにトランプ大統領が署名することによって同法案は成立し、懸念されていた政府機関の閉鎖は回避される。
 
 2232ページにも渡る膨大な法案の中に、マイナーリーガー達の生活権を脅かす法令が含まれていることが、スポーツ関係に限らず数多くの主要メディアで取り上げられている。
 
 「Save America’s Pastime Act(アメリカの娯楽を保護する)」と名付けられたこの法令は、その名に反してマイナーリーガーを最低賃金や時間外労働賃金を保障する労働基準法の適用対象外と定めるものだ。現在米国の最低時間給は7ドル25セント(約760円)。週5日、1日あたりの勤務時間を8時間とすると、労働法で定められた1か月の最低賃金は1160ドル(約12万円)になる。週40時間以上働くと時間外労働賃金が発生する。
 
 ところがこの法令が成立することによって、職業野球選手はその賃金規制の対象外になるのだ。結果として、メジャーチームはマイナーリーガーにそれ以下の月給しか支払わないことが法的に認められることになる。メジャーリーグ広報の見解によると、マイナーリーガーは時間あたりの賃金が決められる種類の職業ではなく、芸術家や音楽家の卵と似た存在なのだそうだ。
 
 マイナーリーガーの薄給や過酷な生活はよく知られていて、上の法令はその現実を追認するものにすぎないわけだが、直接大きな打撃を受けるのは現在においてメジャーリーグに対していくつかの集団訴訟を行っている選手達の主張が法律上の根拠を失うことにある。

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