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田中将大が見せた類い稀な精神力。負けたら終わりの一戦で最高の投球で得たもの【小宮山悟の眼】

ヤンキースの田中将大投手は日本時間9日、ア・リーグ地区シリーズ第3戦に先発した。負ければ終わりの1戦でチームを救う力投を見せ、自身2度目のポストシーズンで初勝利を挙げた投球を振り返る。

2017/10/11

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背水の陣で臨んだ試合、際立った田中の精神力

 ヤンキースの田中将大が地区シリーズの第3戦に先発。7回3安打無失点と好投し、勝利投手に輝いた。ヤンキースが2連敗を喫し、背水の陣で臨んだこの試合で、田中の投球はすばらしかった。
 
 この試合では、田中の精神力の強さが際立った。
 
 田中は追い詰められれば追い詰められるほど、力が発揮できるタイプだ。すでに2敗したチームは、あと1敗すれば敗退が決まった。そんな重要な試合でも、田中はプレッシャーを感じず、いい緊張感で集中してマウンドに上がっていた。
 
 負けられない試合には過度な緊張が生まれ、身体が動かなくなるということが往々にしてある。普通の精神状態では足がすくむほどの状況だ。しかし、田中は開き直って投げられていた。これは彼自身が持つ強さで、こういうときほど力を発揮する。
  
 技術面にも田中の良さが出ていた。シーズン中の特に前半戦では、球数を抑えようとしてツーシームやカットボールを多く投げる傾向があった。それが打ち込まれて早々に降板する結果を招いていた。
 
 後半戦から投球を変えるようになり、スライダーやスプリットが増えて、彼の良かった時の配球で勝負できていた。球数が多くなることを恐れず、コントロールできるボールで勝負していたのだ。
 
 カットボールやツーシームは、ボールを少し動かして芯を外し、少ない球数で打ち取るために使う。悪い言い方をすると、楽して投げるために使う球種だ。シーズン前半はそれがうまくいかず、この日の試合は教訓を生かして、球数が増えてもいいから空振りさせるスタイルで臨んでいた。集中して投げれば投げるほど、球は良くなり打たれることがなかった。その結果、ランナーが出ず、球数が増えなかった。

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