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【MLB】イチローの通算安打数は21位? 22位? 記録にズレが発生した理由とは

2017/08/29

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 マイアミ・マーリンズのイチロー外野手が今月4日(日本時間5日)にMLB通算3061安打を放ち、安打数歴代でクレイグ・ビジオを抜き単独22位に浮上。マーリンズの公式ツイッターも「イチローがMLBの安打数で歴代単独22位に浮上!」と速報した。しかし、MLBの公式サイトの成績一覧を開いてみると、イチローは安打数で単独21位と表示されている。これはどういうことだろうか。
 
 まず、整理したいのはマーリンズがMLB公式サイトが発表している記録ではなく、どこの記録を使っているのかだ。すると4日のイチローの記録達成を報じた記事に次のように記されていた。“Next up is Cap Anson, who is 21st all-time, according to the Elias Sports Bureau, with 3,081”。すなわち、『エライアス・スポーツ・ビューロー』(以下エライアス)によると、安打数歴代21位は3081安打を記録したキャップ・アンソンということだ。
 
 なぜ、マーリンズがMLB公式サイトの記録を使用していないのかは置いておいて、MLB公式サイトの成績一覧に戻ってみると、アンソンは3011安打で歴代28位にランクインしている。この安打数の70の差はどこから生まれたものなのだろうか。
 
 まずは、アンソンについて少し紹介したい。アンソンは1852年生まれの内野手で、MLBの前身とも言われるナショナル・アソシエーション(全米プロ野球選手協会)でキャリアをスタート。その後ナショナル・アソシエーションがなくなり、1876年のナショナル・リーグの成立とともにシカゴ・カブスの前身のシカゴ・ホワイトストッキングスに移籍し活躍した。
 
 アンソンはホワイトストッキングス、そしてチーム名が変わったコルツで22シーズンを過ごし、引退した1897年までにおよそ3000安打を記録。当時はチーム、新聞社の自前のスコアラーがスコアを集計していて、公式記録が存在しなかったため、記録を伝える会社によって数字がバラバラという現象が起きていた。
 
 その後、1919年にナショナル・リーグは『エライアス』の創業者であるエライアス兄弟を公式記録員として雇うなどして、様々な人物が過去の記録について集計を開始した。
 
 すると、可能性としての集計上のミスが多く見つかったのである。しかし、それでもアンソンの記録は統一されなかった。多くの研究家が新たな説や、スコアの誤りを指摘したが、文字の記録しかないので、正確な記録を出すのは非常に困難を極めたのだ。

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