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イチローの「足」がチームを救う――40代の偉人と並ぶイチローの盗塁成功数【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第21回目は、イチローについてだ。

2014/11/24

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40代のイチローの数字は「現役選手」として堂々たるもの

 イチローは米のテレビで来季もMLBでプレーしたいと明言した。
 しかしヤンキースは来季、イチローと契約する意思はないように思える。すでに控えも含めて外野手の枠は埋まりつつある。

 では、どの球団でプレーするのか?
 日本では大きな話題になっているがMLBではほとんど話題になっていない。

 MLBでは、彼のようなベテランの移籍先が決まるのはずっと後になるのが通例だ。働き盛りの大物選手の移籍先が決まり、中堅クラスの行先も決まってから、ベテランの去就が決定する。

 キャンプ前に移籍先が決まれば御の字。マイナー契約でキャンプ招待選手になる可能性もある。

 偉大な成績を残したイチローがなぜここまで次の球団が決まらないのか。
 当たり前の話ながら、年齢はもちろん全盛期に比べて成績が落ちているからである。

 MLB生涯打率.317のイチローだが、今季の打率は.284、年平均201安打も今季は102安打。そして通算112本塁打で、今季は1本塁打。
これでは、〝転職先〟が決まらないのも無理はない。

 しかし素晴らしい選手であることに間違いない。見方を変えればイチローは、ずば抜けた成績を残している。
 MLBの20代、30代、40代、10年ごとの世代別打撃成績を見てみよう。

 各世代の安打数の10傑を出してみた。アナ両リーグ通算の数字だ。

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 MLBではベテラン選手がたくさんプレーしているように思えるが、投手も含めてMLBでプレーした選手の66.9%は20代、30代は32.6%、40代はわずか0.5%に過ぎない。

 200安打以上の好成績を上げているのは20代の選手だ。30代の選手も頑張ってはいるものの、20代にはやや及ばない。

 そして40代になると7人で、うちコローンとホーキンスは投手。40代で規定打席に達していたのはジーターだけだ。ジーターの場合ラストイヤーということもあり、遊撃に固定された。しかしこれは「特別扱い」と言っていいだろう。内容的にも良くない。

 イチローの元同僚のイバニェスは、強打者として40歳近くまで活躍していた。昨年は5本塁打こそしたものの打率1割台と振るわず、来季の予定は決まっていない。

 ヤンキースのスター選手だったアブレイユは2年ぶりにMLBに復帰したが活躍できずに、このほど引退を表明した。
 2001年にイチローとMVPを争ったジアンビは、ここ数年代打として球団を渡り歩いてきた。しかし、さすがに力尽きた感がある。

 この中でイチローだけは数字的に見てもまだまだ「現役」選手だ。
 特に盗塁はその数、成功率ともにずば抜けている。実は、イチローのこの年代での盗塁成功率は、歴史的にも高いレベルなのだ。

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