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「世界は遠いものではないということを伝えて行きたい」。指導者としてドミニカを訪れた野球人の取り組みとは【ドミニカ野球奮闘記#3】

2019/06/19

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日本の指導者とラテンの指導者との違い

 一方で、阿部さんが再認識したのは、指導者の子どもたちへの姿勢の違いだ。「日本では指導者が選手たちに対して絶対的に強い立場にありますが、ラテンの指導者たちは選手たちに『君たちとプレーできることを誇りに思っているよ』『君たちを愛しているよ』ということを常に口にします。指導者がこういう目線を持つことは大事だと思います」
 
 阿部さんがこのような思いを持つのは自身の苦い経験も関係している。
 
「少年時代から各カテゴリーでキャプテンをやらせてもらいました。その中でも、高校時代はタレント揃いのいいチームだったのですが、自分の意見を主張し過ぎて周りを活かすことができませんでした。チームを強くしたいという気持ちが空回りして、部員たちに自分の考えを押し付けていたんです。一般的に人の指導法というのは、その人が受けてきた指導に強く影響されるものです。そして、指導者やキャプテンは強い権力を持っています。今思えば周りに怖がられていたのでしょう」
 
 そして異国の地ニカラグアで生活する中で新たなスタイルを発見したようだ。
 
「ニカラグアでは自分の想いを伝える前にまず周りの意見を聞こうと心掛けました。特に女子選手との関わりが長かったので、余計に気を遣った部分はあります。彼女たちが何を思っているのかということを考え、かつての反省も踏まえて、自分の主張を押し付けるようなことはしませんでした」
 
 ドミニカから帰国した阿部さんは、今月から千葉県勝浦市にある「心研野球塾」というクラブチームで活動を行うという。
 
「野球がうまくなることはもちろん大事ですが、その前に一人の人間としての成長はもっと大事です。そこを重んじるこのクラブの理念に共感しました。また、クラブは定期的にフィリピンでも野球教室を開催したり、用具の援助を行うなど、野球を通じた国際交流や国際貢献にも力を入れています」
 
 ニカラグアやドミニカで活動,体験したことを、日本の子どもたちに、地元の福島県の子どもたちに還元したいという阿部さんは「野球の指導以上に、日本人としての誇りを持ち、世界に通用する日本人を育てたいというもっと大きな夢があります」と言う。多角的な視点を持つ阿部さんがどのような野球人、人間を育ててくれるのか非常に楽しみだ。
 
 
高橋康光
 
第4回
 
 
心研野球塾
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