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下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル#5 軍手をはめた野球部員

2018年夏の甲子園に初出場した三重県立白山高校。10年連続県大会初戦敗退の弱小校。「リアル・ルーキーズ」のキャッチフレーズ……。そんな白山高校がなぜ甲子園に出場できたのか。 3/7発売「菊地選手」渾身の一作「下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル」から第一章を公開する。

2019/03/06

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菊地高弘

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軍手をはめた野球部員

 3年生が引退し、新チームが始まると部員は7人になった。またもや試合ができる人数ではなくなり、活動は野球以前に違うベクトルへと向かった。
 
 野球部員は手にグラブではなく軍手をはめて、グラウンド中に生い茂った雑草を抜き始めた。新チームからキャプテンに就任していた隆真は言う。
 
「3年生が引退してから、夏休み中は半日以上は環境整備をやっていましたね。朝に集まって、昼までは体力づくりや練習をして、午後は環境整備の時間なんです」
 
 東はすでに4月から徐々に環境整備を始めていた。4月には雨が降って地面が軟らかくなった日に、耕運機でグラウンドを耕した。土を掘り起こし、鉄のレーキでならし、後部に網目の金属製整備具を取りつけた軽トラックを牽引する。それだけでも内野部分はかなり整備された。
 
 東はこの白山の広い敷地を生かし、試合ができるだけのグラウンドに仕上げたいと考えていた。
 
「僕は足跡ひとつついていないような、きれいな土のグラウンドが好きなんです。草一本生えていないようなね。前の上野高校でも、後ろに鉄のレーキを取りつけた車を引いて、休み時間に自分で整備していました。甲子園の試合では、阪神園芸(甲子園球場のグラウンドを整備・管理している会社)が試合前にグラウンドをきれいにならすじゃないですか。僕はあの感じで子どもたちに練習させてやりたいんですよ」
 
 問題は外野一面に生い茂った長い雑草と、センター後方に小さな木が1本生えていたことだ。選手たちは来る日も来る日も雑草を抜き続け、木はスコップで根こそぎ掘り起こした。至るところに大小さまざまな大きさで転がる石も、拾っては捨てた。

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