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田中将大、真の評価はこれから 日本人4人目・2年連続二桁勝利も米では称賛の声あがらず

ヤンキースの田中将大は28日のブレーブス戦に先発。7回を3失点、味方の好守や大量援護にも助けられ今季10勝目をあげた。デビューから2年連続の二桁勝利は日本人4人目、ヤンキースでは8人目となる。

2015/08/30

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NPBとMLBの評価の違い

 日本ではダルビッシュ以来の2年連続二桁勝利到達ということもあり大きく報じられているものの、現地報道を見る限り、今日の試合に対する田中についての記事は皆無に等しい。これまでは田中の先発登板のたびに各サイトに記事が出ていたものの、今日の試合では田中個人を報じる記事はこれまで出ていない。

『The New York Times』『New York Post』の2大地元紙の電子版も地元への凱旋試合で3ランを放ったブライアン・マッキャンや4安打6打点の大活躍を見せたグレゴリアスの活躍を華々しく報じる一方で、田中についての記述は7回3失点という成績以外はエルズベリーのファインプレーに対するコメントのみしか見当たらない。

 これはメジャーでは試合数の違いもあり、日本ほど10勝が大きく評価されないことも理由の一つだろう。昨年NPBで二桁勝利をあげた投手は両リーグ合計で20人だが、MLBでは両リーグ最多の21勝をあげたクレイトン・カーショウを筆頭に83人が二桁勝利を記録している。試合数の多さや登板間隔の短さでNPBより登板数の多いMLBでは、二桁勝利は1チームに3人前後は出るもので、優秀な投手を表すものとはされていない。

 また『マネーボール』に「最も過大評価されている指標は勝利数」とあるように、日本と違い勝ち星の評価は絶対的なものでなく、先発投手には200イニングや1年間、ローテーションを崩さずに登板をこなすことが一番に求められる。

 昨年華々しいデビューを見せた田中だが、今季は登板ごとに内容が乱高下、7年総額1億5500万ドルに見合うとはいえないピッチングと、地元紙からも批判があがる。防御率3.62は規定投球回に到達していても両リーグ40位、勝利数、奪三振も同33位タイ、66位タイだ。春先に紙面に踊っていたエースという文字もめっきり見る機会が減ってしまった。

 しかし今季は周囲の評価以上に、まずは肘に負担のかからない省エネの投球スタイルを確立することが田中にとって優先事項だろう。

 そして、ヤンキースはブルージェイズとの首位争いのまっただ中。大事な試合はこれからやってくる。そこでチームの期待に応える投球を見せられるか。ヤンキースを地区首位に導き、その先のプレーオフで実力を証明できるのか。みな、そこに注目している。

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