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5盗塁を許した佐々木朗希。クイック、静止時間の癖をデータで検証する

2021/05/23

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DELTA



佐々木朗希のクイックは遅くはなかった

 はじめに平均との比較を行ってみたい。クイックの時間のプロ野球平均は1.50秒であることを紹介した。これに対して一軍初登板での佐々木朗のクイック平均時間は1.57秒。たしかに平均よりは遅いが、これは致命的なレベルと言うほどの遅さではない。

 クイックの時間についてもう少し掘り下げて確認してみよう。イラストには今季の佐々木朗の走者一塁時におけるクイックの時間を青いプロットで示した。中央に引かれた赤いラインはプロ野球平均の1.50秒だ。これより下にあれば平均よりも速いクイックモーションの投球となる。プロットは左から順に時系列で並べている。
 

 
 右側にある裏地が灰色部分の1軍登板から確認してみよう。これを見ると、計測できたほぼすべての投球でプロ野球平均の1.50秒よりも時間がかかっている。盗塁を多く決められたが、やはりクイックには時間がかかっていたようだ。
 
 だが実際にスタートを切られた投球すべてでクイックが遅かったわけではない。イラスト内で黒く縁取られているプロットがスタートを切られた投球だ。これを見ると、この試合ではじめてスタートを切られた初回若林楽人の盗塁は、1.53秒とほぼ平均レベルのクイックモーションができている。ほかの投球ではもう少し時間がかかっているが、総じてこのクイックモーションだけに原因を求めるのは難しい。
 
 ちなみに2軍登板時についても佐々木朗のクイックの平均は1.56秒。イラストを見ても、一軍登板時とさして変わらない。事前視察を行っていた西武のスコアラーが、「クイックに明確な弱点をもっている」と報告する可能性は高くないように思える。

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