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加藤貴之、楽しみな成長過程――「安定した先発投手」の姿に変貌【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#146】

投手陣のやりくりに腐心するチームにおいて、加藤貴之が先発で安定した働きを見せている。ここ数年起用法は定まらなかったが、今季は先発で大化けする可能性を秘めている。

2021/05/02

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まさかの宮西・杉浦が登録抹消

 ファイターズはなかなか苦しいシーズンを送っている。デビュー戦からずっと力投を続けていた伊藤大海をやっと勝たせてやることができた。ちょっとゴールデンルーキーの頑張りに対し、先輩方は情けないんじゃないかと思ったのだ。肝心かなめのところで名手・中島卓也がエラーする。9回2アウトから守護神・杉浦稔大がサヨナラホームランを打たれる。やっと勝った5月28日のソフトバンク戦も最終回、今宮、柳田にホームランを打たれ、ヒヤヒヤのセーブポイントだった。ていうか、そもそも援護点が少ない。タイムリーが出ず、残塁の山を築いている。
 
 伊藤大海の苦難は今季のファイターズの象徴だ。有原航平が抜けて先発陣が薄く、ルーキーに過大な期待を抱かざるを得ない。ファイターズも打線が好調な頃は若い投手を育てる試合ができた。打ち勝って、自信をつけてやる試合運びだ。ここ最近のパでは西武がそういう試合をしていた。どんなタイミングで入団して来るかで、新人投手の勝ち星は大きく左右される。いや、ホントにね、楽天・早川隆久と同じ(援護点の)条件で新人王争いさせてやりたいけどなぁ…。
 
 ファンにとって大きな驚きは宮西尚生、杉浦稔大というチームのストロングポイントが揃って不調に陥ったところだ。あり得ない。本稿執筆(4月30日正午)の時点で宮西、杉浦が登録抹消なんて誰が予想しただろう。ファイターズは長年、後ろがしっかりしたチームという定評だった。まぁ、杉浦は今季、抑えを任された投手だけど、鉄人・宮西が不調なんて覚えがない。今のファイターズは「これが勝ちパターン」という形が見えない。
 
 ただ投手陣のなかで加藤貴之がキラッと光る働きを見せている。本稿執筆現在、5試合先発、33イニング投げて、自責点10、防御率2.73、奪三振24、2勝0敗(QS3)は際立っている。伊藤のところでも書いたが、援護点が少なく、後ろに不安のあるなかエース級の働きを見せている。先発陣ではエース上沢直之が勝ち運に恵まれず、バーヘイゲンの来日が遅れるなか、完全に加藤が柱の存在になっている。
 
 勝敗は別として、投げるたびに安定しているのだ。しっかり試合をつくっている。名前は伏せるが、一度、ビジター中継の解説者が「こんなにいい投手でしたっけ?」と言ってて苦笑してしまった。そう見えるかもしれない。去年はショートスターターをやったりリリーフをやったり、まぁ便利使いで28試合登板、4勝2敗1H、防御率3.26の働きだった。リリーフも第2先発、ロングリリーフ、ワンポイント、勝ちパターン、敗戦処理…、どんな場面でも見た気がする。

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