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河野、上原、加藤……望まれる「左のエース」の誕生。信頼勝ち取るために共通した課題【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#134】

来季巻き返すうえで、やはり投手陣、特に先発陣の立て直しが急務だ。大黒柱が抜ける可能性もあるなか、左のローテ級の投手が台頭してきてほしいところ。その候補となるのは、河野竜生、上原健太、加藤貴之の3人ではないだろうか。

2020/11/15

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課題は明確、伸びしろは十分

 11月に見た3人のサウスポーのことがずっと引っかかっている。順位の確定した後の「消化試合」だ。本拠地・札幌ドーム最終戦を有原で勝った後、11月2日以降のビジターゲームをファイターズはすべて「チャレンジ枠」の先発投手でまかなった。西武ロッテのCS争いなどお構いなく、生田目、西村、吉田輝星(以上、西武戦)、河野(オリックス戦)、上原(ロッテ戦)だ。まぁ、右腕の3人と比べて河野、上原は今季先発して勝ち星を挙げており、「準ローテ級」というのか「谷間の先発」と呼ぶべき存在だ。そして、ロッテとの最終戦では上原の後を受け、加藤貴之が登板した。
 
 河野竜生、上原健太、加藤貴之。
 
 僕は来季、飛躍してほしいのはここだなぁと思うのだ。ファイターズには強い先発左腕が必要だ。しっかりローテを1シーズン守り、相手が対策のため打線を組み替えるような存在感のあるサウスポー。試合が作れて、勝てる左投手。例えば武田勝である。球場で明日の予告先発が武田勝とアナウンスされれば、こう、何というのか安心感があっただろう、勝さんが投げるならつまらない試合にはならない。願わくば3人揃って、それがムシがいいなら誰か1人に、勝さんのような存在になってほしい。
 
 読者は誰の伸びしろに期待しますか?
 
 それでなくても来年は有原がポスティングで海外へ行きそうなんである。先発の柱が1本欠ける。上沢、バーヘイゲンは計算できそうだけど、左のローテ級はぜひともほしい。イースタンで今季、最優秀防御率に輝いた北浦竜次の飛躍を期待する向きもあると思うが、フツーに考えたら河野、上原、加藤が順当だ。
 
 3人のうち河野、上原は先発としてチャンスを与えられ、結果が出せなかったくちだ。共通点は「いいのか悪いのか投げてみないとわからない」。言い方を変えると安定感がない。安定感というのはつまり信頼性のことだから、現状のままじゃ到底、ローテの一角には食い込めない。
 
 河野はキレのいい速球と「うず潮カーブ」で自分なりの投球を組み立てていた。テークバックの「後ろが小さくてピッと来る」独特のフォームで、打者はタイミングが合わせづらい。僕は春頃、あぁ、このルーキーはローテでいけるな!、とホクホクしていたのである。が、そうカンタンじゃなかった。プロの1軍レベルではコントロールが甘い。大事なところで高めをホームランされていた。
 
 上原は「決め球のない投手」という言い方をされてきた。すべての球種の平均点は高いのだが、追い込んでから最終的な武器がない。長身から投げ下ろす角度と(今季心がけていた)ポンポン投げ込むテンポ感、そういうものを自分の特徴にしてペースを握るしかない。まぁ、決め球がないのだから、粘り強く投げるのだ。今年はそれに徹していた。ただ四球でひとり相撲するときがあって、そうなるとなかなか修正がきかない。
 
 もう1人の加藤は(河野、上原と違って)先発として長いイニングを任されたのではない。ショートスターターの先発として3回まで、もしくはリリーフとして回またぎを期待された「特殊用途」(?)の投手だ。今季後半はもう、どこで出てくるか見当がつかなかった。2番手のロングリリーフだったり、終盤のセットアッパーだったり。ファイターズはショートスターター制の採用で注目を集めた球団で、すぐにはその看板は下ろせないだろう。そういう事情のなかで加藤は「オーソドックスな先発」として成長する機会を逸しているのかもしれない。いつまでも「打者1巡ならピタッと抑える投手」でいいのだろうか。

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