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【中島大輔 One~この1球、1打席をクローズアップ】プロ7年目・遅咲きの大砲、梅田尚通が魅せた来季へつなぐグランドスラム

ある試合の象徴的なワンシーンを切り抜き、その場面の選手の心理や想いを取り上げる連載企画。第3回目は、埼玉西武ライオンズの梅田尚通をクローズアップする。与えられた機会で、結果を出せるか否か。プロ野球という厳しい世界では、期待を懸けられる選手は多いが、それをモノにできる選手は一握りだ。10月2日の北海道日本ハムファイターズ戦の2回裏、無死満塁の場面だ。5月にプロ7年目にして初昇格、4打席で2三振という厳しい結果――しかし、1軍の投手との4回の対戦の中で、梅田は手ごたえを感じていた。

2014/10/07

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潮崎2軍監督もずっと期待を寄せてきた、梅田の長打力

「こういう当たりが試合でも出れば、和製大砲でいけるんちゃう?」

 打撃練習で長打を連発する梅田尚通を見ながら、潮崎哲也2軍監督はずっと期待を抱いてきた。185cm、85kgという大柄な体躯は、それだけでプロ野球選手として特別な才能だ。

 そこに何かプラスアルファが加われば、長距離砲として目覚めるかもしれない。

 そうして周囲の期待を背負ってきた梅田は、鯖江高校から入団して7年目の今季、遂に悲願の一打を放った。その場面でその一撃を打てたことは、梅田にとって極めて大きな意味がある。

 10月2日、西武対日本ハム戦。西武にとって本拠地で行われた今季最後の主催試合は、低迷した1年間を象徴するかのような幕開けとなった。先発した牧田和久が2回、日本ハム打線に7本のヒットを浴びて、7失点でKO。観戦に訪れた2万8111人の大部分を占める西武ファンは、試合序盤で大きく肩を落とした。

 その嫌なムードをひと振りで吹き飛ばしたのが、梅田だった。7番・ライトでプロ入り初スタメンに抜擢されると、2回裏、無死満塁で打席が回ってきた。日本ハムの先発・新垣勇人が初球、内角に140kmのストレートを投じると、左打席の梅田は力強く振り抜く。

 放物線を描いた打球がライトスタンドに飛び込んだ。

 プロ入り初安打がグランドスラム。”満塁男”と言われた駒田徳広が、1983年に記録して以来の出来事だ。

「(打ったのは)真っすぐです。必死で打ちました」

 2回表、石川亮に先制点を許した3点タイムリー三塁打は、梅田のまずい守備が絡んでいた。その裏にチャンスで打席が回ってきて、是が非でも結果を残さなければならない状況だった。

 そうした場面でプロ入り初安打となる満塁本塁打を放ち、これを皮切りに西武は計9得点を挙げる。梅田のホームランが打線に火を付け、チームは逆転勝利を収めた。

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