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ペナントVへの星勘定。「5勝できる先発を8人」落合博満監督が森繁和コーチへ指示した意図【横尾弘一「野球のミカタ」】

今季のセリーグは交流戦の成績が大きく影響し、一気に大混戦と化した。トータルの優勝ラインを設定した際、どのような星勘定を行っていくのだろうか。またペナントレースを制するためには何が必要なのか。落合博満GMは監督時代に描いていたビジョンを紹介したい。(2015年6月27日配信分、再掲載)

2015/06/27

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まずは実戦で70~80%の力を発揮できるように練習

 2ケタ勝てる先発投手を育成・台頭させるのは容易ではない。
 
 前年に10勝した投手に翌年も10勝以上を期待すると、どうしても10勝という数字を意識しすぎて本来の力さえ発揮できなくなるというリスクが生まれる。
 
 ならば、5勝を期待値のラインとし、それ以上に勝ってくれれば御の字という考え方でチームの勝敗に落とし込んでいく。
 
 毎試合のようにスタンバイしなければならないリリーフ陣についても、コンディションの継続力、スタミナ、投球内容に合わせて2チーム分にあたる布陣を形成しておく。
 
「どんな仕事でも、自分の持てる力を100%発揮するのは簡単なことじゃない。ましてや、120%の力なんて出せるわけがない。私だって先発させる投手は、常に勝ってほしいと思って送り出していたけど、その期待と星勘定はまったく別物でしょう。まず、実戦で70~80%の力を発揮できるように練習を重ね、それができるようになったら70~80%の力でコンスタントにプレーできるようにする。うまくハマれば完封するけれど、投げてみなければわからないという投手では、安定した戦いを続けられないのだから」
 
 それは野手も同じだ。好調時はマルチ安打を続けるものの、調子を崩すとしばらく沈黙してしまう選手よりは、対戦相手がどこであれ、チームがどんな状態であれ、自分の仕事をきっちりこなせる選手こそ勝利に貢献できる。そのためには、70~80%の力をコンスタントに発揮しようという姿勢が大切なのだという。そうして、安定した実績を継続してきた選手を投打の柱に据えていくのだ。
 
「そういうチームになれば、大きな連勝をしなくても、同一カード3連敗とか長い連敗はしなくなる。そして、ペナントレース終盤の勝負どころでも、普段と変わらぬ精神状態でプレーできる。最後に笑うのは自分たちだという信念を持ってね」
 
 そうした戦い方を扇の要として経験してきた谷繁元信監督は、開幕3連敗を跳ね返した勢いを取り戻せないチームを、どんな方法で立ち直らせるのか。それとも、このままズルズルと後退してしまうのか。そんな視点で、オールスターゲームまでの中日ドラゴンズの戦いぶりに着目してみたい。
 
交流戦定着で「東西対抗形式など、ファンが楽しめる形を」 落合博満氏私案の”夢の球宴”【横尾弘一の野球のミカタ】
 
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