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野村克也氏、ソフトバンク・工藤監督の采配に疑問「監督は試合中に喜怒哀楽を出すものではない」

未来のプロ野球選手を夢見る選手を教える指導者はどのような知識を備えるべきか、そしてどのような指導をすべきか。4月12日に発売された野村克也元監督の最新刊「指導者のエゴが才能をダメにする ノムラの指導論」から一部抜粋で公開する。

2019/04/17

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常勝の秘密は球団のマネジメント力にあり

 工藤がソフトバンクの監督に就任してから、リーグ優勝2回、日本一3回経験している。それでは工藤は名将となり得るのかと聞かれれば、迷わずノーと答える。なぜなら優れているのは彼ではなく、ソフトバンク球団のマネジメント能力にあるからだ。
 
 そのすごさを垣間見るのは、ソフトバンクが毎年、宮崎市内で行う春季キャンプにある。よその球団、たとえばロッテの場合は「一軍は石垣島、二軍は鹿児島」というように、別々の場所でキャンプを張るものだが、ソフトバンクは違う。一軍、二軍、三軍の全選手が、同じ運動公園内でキャンプを行うのだ。つまり、主力選手だけでなく、若手の有望な選手や新人選手まで、すべての選手が見られるというわけだ。
 
 このことはファンにとってはありがたいかもしれないが、それ以上にメリットがあるのは、ソフトバンクの球団関係者全員である。一軍のグラウンドには主力選手がいる。そこで二軍の選手が紅白戦で活躍しようものなら、その情報はすぐに一軍のグラウンドに届く。そのことで「ひょっとしたら、ここにいる誰かが二軍に落ちるかもしれない」と選手たちの間で緊張感が走るわけだ。激しい生存競争を勝ち抜いた選手を一軍の監督である工藤は引っ張っていくだけでよい。
 
 けれどもせっかく育成しても、選手の起用法にムチャが生じるようなことがあれば、選手のコンディションにジワジワと影響してくる。それがこれだけのケガ人の多さにつながっているのだろう。
 
 12球団一の戦力を誇っているはずのソフトバンクだけに、工藤監督の手綱の引き方には問題があったと私は見ている。
 
 2019年シーズンが始まったが、昨年の敗因をどのように分析し、工藤監督がベンチでどのような表情で采配を振るうのか興味深く見守っている。
 

著者プロフィール

野村克也
1935年、京都府生まれ。峰山高校卒業後、1954年にテスト生として南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)に入団。3年目でレギュラーに定着すると以降、球界を代表する捕手として活躍。70年には南海ホークスの選手兼任監督に就任し、73年にパ・リーグ優勝を果たす。78年、選手としてロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に移籍。79年、西武ライオンズに移籍、翌80年に45歳で現役引退。27年間の現役生活では、三冠王1回、MVP5回、本塁打王9回、打点王7回、首位打者1回、ベストナイン19回。 三冠王は戦後初、通算657本塁打は歴代2位の記録。90年、ヤクルトスワローズの監督に就任後に低迷していたチームを再建し、98年までの在任期間中に4回のリーグ優勝(日本シリーズ優勝3回)を果たす。99年~2001年阪神タイガース監督。06年~09年、東北楽天ゴールデンイーグルス監督。著書に『野村ノート』(小学館)『野村の流儀』(ぴあ)など

 

書籍概要


『指導者のエゴが才能をダメにする ノムラの指導論』
定価:本体1600円+税
 
その教え方が、選手を潰す! 間違いだらけの野球観を捨て、『本物の野球』を学べ
アマチュア指導者へ贈る、選手指導入門編
 
野球競技人口が年々減少していく中、特に未来のプロ野球選手を育てる“指導者”が果たす役割は大きくなっている。選手一人一人の将来に向けて、勝ち負けだけにとらわれず、どのように教えるか。指導者としてあるべき姿、基本をまとめたのがこの1冊だ。具体的な技術論から、選手を教える上で指導者が心得るべきリーダー論まで、野村元監督の野球人生における経験をすべて凝縮した1冊になっている。
 
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指導者のエゴが才能をダメにする ノムラの指導論

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