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中田翔の文章から伝わる強い思い――トライアウトに挑む西岡剛に見たプロの原点【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#89】

来季に向けて戦力を整えるオフシーズン。ファンが気がかりだった宮西、そして主砲・中田の残留に安堵したファンも多いだろう。

2018/11/18

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西岡は高校の先輩であり、兄貴的存在

 11月中旬、北海道のファイターズファンは四方八方からプレゼント攻めに遭ってるような気分を味わったはずだ。そもそも吉田輝星ドラフト、北海道ボールパーク発表の余韻がまだ続いている。日米野球では上沢直之が好投した。また侍ジャパンのベンチに稲葉篤紀監督、金子誠、建山義紀両コーチが並ぶ絵はたまらないものがある。
 
 そこへ持ってきて13日は朝から「大谷翔平 ア・リーグ新人王獲得」「札幌大谷高校 明治神宮大会優勝」「中田翔3年契約 FA権行使せず」「ヒルマン監督 韓国でも頂点」である。何だろう、この多幸感は。ちなみに僕は朝からMLBの発表を待ち、大谷獲得と同時にPCを開いてコラムを1本書き上げる一方で12球団合同トライアウト(フジテレビONE)を録画し、テレビ(スカイA)の音声を消して札幌大谷高校をチラ見しつつ、中田翔の記者会見を気にしているという落ち着きのなさだった。
 
 大谷新人王のコラムは11時には書き上がったので、その後は音声をオンにして明治神宮大会を見た。トライアウト中継は夜中、家の者が寝静まってからコソコソ起き出して見たのだった。が、ここにトライアウトをオンタイムで見たとインスタに上げている人がいた。
 
「皆さんお疲れ様です! 先程記者会見終わりました! ファンの皆さんには感謝しています! 苦しい時背中を押してくれたのはファンの皆さんでした!!
こんな頼りにならない4番ですが皆さんの為に全力を尽くしたいと思います! よろしくお願いします!! そして、今日朝からトライアウトを見ていました! 剛さんや城所さんが人生をかけ頑張ってました!
 僕はこの厳しい世界に入り色々な事を兄貴である剛さんに教わりました!! すごく、不思議な気持ちで見ていて何か、気合も入りました!! 今のままだったらアカン!! そう素直に思いました!! 剛さんがトライアウトを受ける事にまず驚いたんですがトライし続ける人生見習わねばなりません!! 剛さんに頑張って下さいとラインしたらお前はトライアウト受けなアカンようになるなよ!今のうちから全力を尽くしなさい!とそれだけが返ってきました!! ホンマに最高な男の中の男だと思います!! 僕も2人に負けないようにもっと努力します!!」(中田翔公式インスタグラムより)
 
 ファイターズの主砲、中田翔だ。新聞報道では(推定)3年10億円の大型契約がまとまり、この日晴れて「FA権行使せず、球団残留」「主将続投に意欲」の記者会見をした。先週9日の宮西尚生「(推定)2年5億円契約 FA権行使せず」と共にファンとしてはホッと胸をなでおろしたところだ。
 
 文面は全センテンスが「!」(エクスクラメーションマーク)で結ばれるという強烈なものだが、読み込むと語調や語勢だけでなく、そこに込められた思いが強いことに驚く。僕はかなりグッと来た。西岡剛、城所龍磨がトライアウトを受け、けんめいに戦う姿を見て、中田がこんなに素直に感動している。特に西岡剛は中田にとって大阪桐蔭の先輩であり、「兄貴」だ。1軍の壁にぶつかっていた頃、自主トレを一緒にこなすことでプロの心構えを学んだのだ。今またその「兄貴」西岡のチャレンジスピリットをテレビから学んでいる。そうだったのか、中田はあの記者会見の前、トライアウト中継に食い入っていたのか。

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