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プロ野球ストーブリーグに突入、移籍は吉か凶か。昨オフFA権を行使した選手の今季は?

2018/11/15

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 ストーブリーグに突入したプロ野球。フリーエージェント(FA)行使期間が終了し、15日から交渉が解禁される。埼玉西武ライオンズの浅村栄斗内野手、広島東洋カープの丸佳浩外野手らが権利行使を宣言。残留、移籍を巡って、その動向に注目が集まっている。
 
 2017年オフは野上亮磨投手、増井浩俊投手、大和内野手、鶴岡慎也捕手、大野奨太捕手が国内FA権を行使し、新天地に移籍した。平野佳寿投手は海外FAでオリックス・バファローズからアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ戦いの場を移した。
 
 そして、FA選手の人的補償となった高木勇人投手、尾仲祐哉投手が新たなスタートを切った。
 
 昨オフにFAで移籍した6選手、人的補償で移籍した2選手の1年を振り返る。
 
 

野上亮磨投手
埼玉西武ライオンズ→読売ジャイアンツ
今季成績:25試合、4勝4敗1H、防御率4.79
 
 2009年から2017年まで西武で先発、中継ぎを務めた。17年は飛躍的な成長を遂げ、自己最速149キロをマーク。右のエースとしてキャリアハイの11勝を挙げた。
 
 巨人では先発ローテの一角として期待されたが、4敗目を喫した阪神タイガース戦(5月27日)後の同30日に移籍後初めて出場選手登録を抹消された。7月14日の再昇格後はリリーフとして起用されているが、主に敗戦処理を務めている。
 
人的補償:高木勇人投手
今季成績:8試合、1勝2敗、防御率8.69
 
 2014年ドラフト3位で巨人に入団した高木。1年目には巨人投手として49年ぶりのデビュー5連勝を飾るなどの活躍を見せたが、中継ぎへの配置転換、けがによる長期離脱などで3年目を終えた時点で人的補償での西武入りとなった。
 
 4月3日に中継ぎとして移籍後初昇格を果たし、同22日の千葉ロッテマリーンズ戦で白星を挙げた。だが、5月1日のオリックス・バファローズ戦で黒星を喫し、3カ月の登録抹消。再昇格後の8月1日の1軍マウンドでは、福岡ソフトバンクホークス相手に4回途中8失点の乱調。チームの連勝をストップさせ、翌日に登録抹消された。
 
 
増井浩俊投手
北海道日本ハムファイターズ→オリックス・バファローズ
今季成績:63試合、2勝5敗35S9H、防御率2.49
 
 日本ハム時代の2010年に先発として台頭した。中継ぎとしての才能を開花させたのは11年。56試合で防御率1.84をマークし、翌12年には最優秀中継ぎのタイトルに輝いた。16年途中からチーム事情で再び先発に回ると、2完投1完封などで10勝を挙げ、チームの日本一に大きく貢献。翌17年に再びリリーフに戻った。
 
 ダイヤモンドバックスに移籍した平野に代わり、オリックスの新守護神として今季63試合に登板。5、6月は計25試合で1失点と圧巻の投球を披露した。今季はリーグ2位の35セーブを挙げ、新天地でもファンの期待に応えた。
 
 
大和内野手
阪神タイガース→横浜DeNAベイスターズ
今季成績:113試合、打率.244、2本塁打、27打点、10盗塁
 
 阪神で2009年にプロ初出場を果たすと、12年から17年まで毎シーズン100試合以上に出場。長年遊撃手を務める鳥谷敬内野手の存在により、本来のポジションでプレーする機会はなかなか巡ってこなかったが、14年には外野手としてゴールデングラブ賞を獲得するなど、ポジション問わず高い守備力を発揮していた。17年シーズンはスイッチヒッターに転向し、自己ベストとなる打率.280をマークした。
 
 本職・遊撃での出場機会を求め、DeNAに移籍した今季。開幕から調子が上向かず、4月には昨季開花した左打に見切りをつけ、右一本で再起を図った。7月には左わき腹を故障し、登録抹消。復帰後の8月は打率.395と復活をアピールしたが、チームはBクラスに沈んだ。シーズン終了後の10月30日に左足関節のクリーニング手術を行っている。
 
人的補償:尾仲祐哉投手
今季成績:12試合、0勝1敗、防御率3.86
 
 17年シーズンは11試合に登板し、8月22日の広島東洋カープ戦ではプロ初勝利を挙げた期待の大卒ルーキー。ファームでは25試合に登板し、防御率1.38をマーク。2年目の飛躍が期待されていたが、球団のプロテクトから漏れると、阪神はすぐさま尾仲を指名した。
 
 150キロを超える直球と23歳の若さが買われ、阪神でも有望株となった尾仲。1軍昇格を果たした5月は、5試合に登板して防御率0.00と結果を残した。ファームでは昨季を上回る28試合に登板し、ファーム日本一に貢献。来季以降の活躍が期待される。
 
 
鶴岡慎也捕手
福岡ソフトバンクホークス→北海道日本ハムファイターズ
今季成績:101試合、打率.243、2本塁打、22打点、1盗塁
 
 プロ生活2度目となるFA宣言で5年ぶりの古巣復帰を果たした。ソフトバンクでは昨季、育成出身・甲斐拓也捕手ら若手の台頭により出場機会が激減。出番を求めて、2度目の権利行使に踏み切った。FAで移籍した選手がFAで“Uターン”するのはプロ野球史上初めてとなった。
 
 16年目の今季は豊富な経験を活かし、日本ハムの若い投手陣を好リード。捕手としてチーム最多の103試合の出場を果たした。来季はバッテリーコーチの兼任が発表された。投手陣に加え、今季頭角を現した高卒4年目の清水優心捕手ら後進の育成にも期待がかかる。
 
 
大野奨太捕手
北海道日本ハムファイターズ→中日ドラゴンズ
今季成績:63試合、打率.197、2本塁打、10打点
 
 2016年の日本一捕手は、強肩と正確な送球が武器。ルーキーイヤーから捕手として試合に出続けているが、昨季は黒羽根利規捕手の加入や若手の台頭で83試合の出場にとどまり、出場機会を求めてFA権を行使した。
 
 中日では正捕手としての活躍が期待されたが、出場は自己最少の63試合だった。打率も3年ぶりに2割を切り、松井雅人捕手に出場機会の多くを譲る形となった。
 
 
平野佳寿投手
オリックス・バファローズ→アリゾナ・ダイヤモンドバックス
今季成績:75試合、4勝3敗3S32H、防御率2.44
 
 昨季はクローザーとして58試合に登板。8月27日の埼玉西武ライオンズ戦で通算150セーブを達成した。日本プロ野球では通算549試合に登板し、48勝69敗156セーブ139ホールド、防御率3.10だった。
 
 ダイヤモンドバックスではメジャー1年目にして、日本人シーズン最多記録を更新する75試合に登板。32ホールドはリーグ3位の数字となった。さらに球団記録を塗り替える26試合連続無失点を記録するなど実力を発揮した。