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頑張れ岡大海、ようこそ藤岡。大田・杉浦に続く「ドラ1再生」となるか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#81】

7月末に設定されている期限ぎりぎりで発表された、岡大海(日本ハム)と藤岡貴裕(ロッテ)の1対1トレード。ファイターズファンの心中はいかに。

2018/07/29

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「ひろみ推し」が泣いている

 今年もトレード期限ぎりぎりにあっと驚くニュースが飛び込んできた。7月26日発表された岡大海(日本ハム)と藤岡貴裕(ロッテ)の1対1トレードである。背景にはファイターズは左腕不足、ロッテは荻野貴司の骨折(右手人差し指)という事情があるだろう。(報道によるとロッテ球団から移籍先を知らされていなかった藤岡も驚いたようだが)普通は利害の対立する同一リーグ間の、シーズン半ばのトレードはあまり行われない。いわば「雨漏り補修」的な緊急補強なのだ。
 
 トレードの衝撃は両チームのファンの間にも広がっていて、皆、気持ちが整理しきれないようだ。ファイターズの外野は多士済々で、このところ岡の出番はすっかり減ってしまったけれど、ファンは2016年日本一のシーズンの活躍を忘れかねている。大谷翔平の投打にわたる大活躍が強烈であったけど、シーズン後半戦、いつも岡がいいところで仕事をしていた。
 
 アニメ『エースをねらえ!』の主人公、岡ひろみにあやかって、登場曲がアニソン、背番号が(野手には珍しい)18番に変更された。岡は人気者だった。そして、誰もがそのポテンシャルを認めていた。身体能力、持って生まれたバネがとんでもないのだ。岡が評するとき、評論家がよく言った「ケガが多いタイプ」というのも、つまりは身体のバネが並外れているからだ。出力が大きくなければケガはあまり起こらない。確かにケガがちでレギュラーを獲り損なってしまった。僕は(以前、当コラムにも書いたが)岡大海がセンターでレギュラーを張って、初めてファイターズの「鉄壁の外野」が完成するという持論だった。それだけ期待をさせる選手だった。
 
「ひろみ推し」のファンが泣いているのだ。オールスター直前に大田泰示がケガをして、ライトのスタメンに岡が入った。皆、期待したのだ。プロ野球では穴埋めで入った選手が活躍し、ポジションを奪ってしまうケースがよくある。チャンスだ。が、スタメンはすぐに松本剛にとって代わられてしまう。松本も去年、規定打席に到達する活躍を見せながら今季はすっかり出遅れていた。大田泰示欠場のタイミングは松本にとっても逃がせない機会だった。松本は死にもの狂いで2番打者(去年、務めた打順だ)の仕事をする。岡は代走要員としてベンチを温めることになった。
 
 僕の親しい「ひろみ推し」ファンは、自分がロッテを応援することになるのか自問している。たぶん岡はロッテで出場機会をもらうだろう。岡の能力は試合に出てこそ本物になる。出場機会のもらえるチームへ移籍することは幸せなのだ。それは重々わかっている。また昔みたいに「1試合に3本、ショート内野安打を放って球場をざわつかせる」姿が見たい。見たいのだが、自分は果たしてあのZOZOマリンの応援の一員となるのだろうか。岡大海はいつかハンドマイクを持って「ウィーアー」をやるのだろうか。毎日、泣いたりため息をついたり忙しいそうだ。まぁ、僕も札幌ドームのスーツ姿の挨拶はたまらず泣いたなぁ。岡、頑張れよ。

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