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ベテランが現役続行にこだわる理由。“満足しきれぬ”野球人生…村田・松坂らに立ちはだかる若手とサラリーの壁【小宮山悟の眼】

12球団合同トライアウトが終わり、来季の陣容が固まってきた。その一方、戦力外通告を受け、現役続行を希望している選手で所属先が決まらない選手もいる。私自身、現役時代に米国から帰国して、1年のフリー期間を経て39歳になる年に日本球界に復帰した。そのため、現役続行にこだわる選手の気持ちは理解できる。彼らの可能性について考えたい。

2017/12/02

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投手より厳しい、ベテラン野手の移籍市場

 一方の村田に関して言うと、主力だったベイスターズ時代や巨人に移籍した当初ほどの活躍は見込めないだろう。だが、今年は118試合に出場して100安打14本塁打をマーク。来季も今季くらいの活躍は期待できる。特に移籍1年目は頑張るはずだから、「キャリアがある頼りになる存在」と考えれば戦力になる。
 
 しかし、投手に比べると需要は少ないのは事実だ。投手は先発以外にもたくさんの役割がある。さらに先発ローテーションは、5~6人ではなく、バックアップ要員として10人は見込むだろうから、そこに1人入るということは可能だ。
 
 野手は、村田が守るサード、ファーストはどの球団も打てる選手で固めつつある。そう空いているポジションではない。先日、外国人6人の残留を発表した楽天は、三塁にはウィーラー、今江年晶がいて、一塁には銀次、DHにはアマダー、ペゲーロがいる。かなり狭き門だ。
 
 今年のドラフトで清宮幸太郎が欲しいとい手を挙げた球団は「ファーストのポジションを空けて待っている」というスタンスだったはずだ。そういうチームは村田が入るポジションがあるかもしれない。長距離砲のいないロッテは、鈴木大地をサードにコンバートさせた。残念ながら、井口新監督の構想には村田は入っていない。
 
 そして、もうひとつ課題となってくるのがサラリーだ。
 
 この点において、米国と日本の違いが表れる。米国の場合は「枠がもらえるなら」と、条件をのむケースはある。「40人の枠に入れるなら最低保障でいい。何が何でも契約して勝負する」という選手はいる。そこが日本のケースとは異なるかもしれない。
 
 37歳~39歳という年齢は、働けないわけではないし、もう一花咲かせることはできる。ただ、球団の事情によって左右されるだろうし、タイミングの問題もある。私は、バレンタインがロッテに復帰するということで、連絡をもらえた。 
 
 私の場合は単純に運が良かった。人生の運を使い切ったかどうか、これからもう一花を咲かせられるかどうか。まだ活躍が期待できる選手だけに、いい契約を結べることを祈っている。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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