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非現実的な大記録への期待 数字に裏打ちされた、松井裕樹のリリーフ起用

大久保監督が明かした、松井裕樹のリリーフ起用。昨年のデータを見てみると、いかにその選択が数字に裏打ちされているかが、よくわかる。

2015/02/28

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勝ち試合での登板は、弱点を消すことにも

 打者の一振りで得点が入る被本塁打を防ぐことも、勝ちパターンの投手にとって大切だ。松井裕はこの被弾回避能力が素晴らしい。トータルでも116回で僅かに2本と少なかったが(これは昨年NPBで80回以上を投げた投手57人で最も少ない)、救援時には1本も柵越えを許さなかった。そればかりか、長打リスクが大きいウォーニングゾーン内への外野大飛球をも与えておらず、リリーフで打たれたヒット10本は全て単打だった。
 
 打球という視点から見ると、内野フライが多いのも特徴である。打球をゴロ、フライ、ライナーに分けた時、最もアウトになりやすい内野フライ。9イニングあたりの発生頻度を診る内野フライ率(IFFB/9)は先発で1.02、救援で1.03とされているところ、松井裕樹は3.10だった。球威が増すのだろう。リリーフでは3.60を記録している。
 
 救援起用では弱点を消すこともできる。昨年多く走られた相手の盗塁作戦を封じる効果もある。敵軍にとっては終盤8回以降の負け展開。リスクをかけて盗塁を仕掛けることは難しくなる。実際、昨年パリーグで発生した盗塁で同状況盗塁企図は全体の10%にも及ばないほど少なかった。この恩恵に浴することができる。
 
 メンタル面でも、同一打者と複数当たる先発ではペース配分など色々考えなければならないのに対し、余計なことを考えず目前の打者との勝負に専念できる救援のほうが、現時点では向いているように思う。
 
 昨年のデータから見れば、リリーフではまさに死角がなく、ワクワクしてしまう。この特性は2月12日紅白戦以降の実戦登板でも確認することができるのだ。
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 奪三振は投球回を上回る6個を記録。初失点した2月24日の西武戦でも17球を投げ、ストレート、スライダー、チェンジアップと主要球種で4つの空振りを奪っていた。被本塁打ゼロはもちろん、ウォーニングゾーン内の外野飛球もゼロ。内野フライは紅白戦で2本、日本ハム戦で2本、合計4本を打たせている。
 
 2月21日の日本ハム戦後、大久保監督は松井裕樹と、1イニング限定時には防御率0.00を目指そうと約束したと伝えられている。正直、非現実的だ。しかし、田中将大が非現実的な大記録を打ち立てたのと同様、松井裕にもその可能性が大いに詰まっているのだ。
 
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