大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



疑問残るロッテの補強戦略。いま必要なのはサントスではない【小宮山悟の眼】

千葉ロッテマリーンズは18日に、ロエル・サントス外野手の獲得を発表した。だが、同日の伊東勤監督のコメントからは新助っ人加入について喜んでいる様子が一切窺えなかった。今、ロッテが本当に必要なのはどんな選手なのだろうか。

2017/05/26

text By

photo

Getty Images



球団と現場の間で共有できていない

 しかし、それはシーズンが進む中で進捗状況を説明しておかないといけないだろう。ここまでパラデスとダフィーが打てないと思わなかったにせよ、想定することは必要だし、現場からも獲得に動く選手がサントスのような選手ではないと言えたはずだ。
 
 それが「今必要という選手ではない」という伊東監督のコメントに至っているのは、球団と現場との間で、チームの低迷原因が上手く共有できていないことの表れといっていい。新外国人選手を獲得したなら「待っていました」というようなコメントが出てくるのが自然だろう。
 
 さらに問題点を挙げると、ある新聞の報道ではオリックスがサンフランシスコ・ジャイアンツのマイナー選手(編注:クリス・マレーロ)を獲得する動きがあるという記事が出ていた。その選手はスプリングトレーニングで7本のホームランを打ち、開幕メジャーだった。その後にマイナー降格した選手のようだ。
 
 これが示す意味は何かを考えてもらいたい。
 
 オリックスは春先好調だった。一時期は貯金を作り、楽天を追う2位につけていた。それが5月に入ってからチーム状態が急降下。そのチームがすでに外国人選手にあたりを付けているわけだ。
 
 ではなぜ、開幕の4月から不調だったチームであるロッテがその選手にあたりを付けられなかったのか。これは考えなければいけない問題だ。
 
 もし、この選手がオリックスに入団して活躍するようなことがあったら、現場サイドとしては納得できないだろう。
 
 このままでは、ロッテの今シーズンは厳しい戦いのまま終えることになる。そうしないためには、還せる打者の獲得に動くべきだろう。トレードが一番手っ取り早い手になるが、チームを強くするために、今の状況を打開する姿勢を見せ、毎日熱心に応援してくれているファンを納得させなければならない。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

1 2