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パ牽引する4人のエース。沢村賞候補によるハイレベルな投げ合いに刮目せよ【小宮山悟の眼】

現在、パシフィック・リーグでトップタイの5勝をマークしている福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大投手とオリックス・バファローズの金子千尋投手、4勝の東北楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大投手、埼玉西武ライオンズの菊池雄星投手が好調だ。このまま4投手が切磋琢磨していけば、相当ハイレベルの白熱したゲームを見せてくれるだろう。

2017/05/16

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金子の今の成績は本来の姿

 ペナントレースは1ヶ月半が経過して、多くの投手がすべてのチームと対戦した。パ・リーグでは各部門の上位を占める投手がおおよそ絞られ、レベルの高いピッチングを見せている。
 
 トップタイの5勝を挙げているのがソフトバンクの千賀滉大とオリックスの金子千尋だ(編注:西武のウルフも5勝)。その後ろにピタリと楽天の則本昂大、西武の菊池雄星が4勝で後につけている。防御率は菊池が1.08で1位、後を金子が1.70で追っている。奪三振は56個の則本が1位、55個の千賀、53個の菊池と続く(成績は5月15日現在)。
 
 この4人は、WBC組の則本・千賀、そうでない金子・菊池に分けられる。
 
 則本はWBCでは本調子ではなかったものの、シーズンに入って調子を上げてきている。三振を取ることに生きがいを感じているかのように、4試合連続2ケタ奪三振をマークしているところなど、エンジン全開の印象だ。このまま、チームとともに突っ走るだろう。
 
 逆に千賀は、WBCに参加したことで彼を取り巻く環境が激変した。WBC東京ラウンドで自信をつけ、アメリカラウンドに行って評価が上がったのだ。ホークスでは育成から支配下登録へと昇格し、活躍できるようなった。
 
 シンデレラストーリーとして語られることの多い投手だが、WBC日本ラウンドでの活躍、そして、アメリカラウンド前のアリゾナキャンプでは注目の的になるほど。彼本人も手応えを感じているはずだ。
 
 今季の千賀は、自信に満ち溢れている。以前までは投球に不安を感じさせることもあったが、完全になくなったようにみえる。実際、彼の投げているボールは凄まじい。
 
 金子は、この2年がおかしかっただけで、すでに5勝を挙げている今の成績は本来の実力を考えれば当然のもの。以前に比べて奪三振が減っているという指摘があるが、これはスタイルの変化ではない。打つ側に問題がある。
 
 すでに金子千尋のイメージが出来上がっていて、追い込まれてからでは勝負にならない。だから、打者は早いカウントから打とうと考えている。おそらく、金子はそれを分かって投げているのだろう。
 
 2ストライクなる前に勝負に来るということが分かれば、これほど楽なことはない。ボールを沈めることでゴロになるわけだから。金子はそのあたりのピッチングが上手い。
 
 この3人に関しては、ある程度の成績を残すだろうという想定はあった。だから、特別な驚きはないが、菊池雄星に関しては、想定以上の活躍をしていると言っていい。ここまでピシャと抑えることができるようになるとは思っていなかった。
 
 彼がそれだけの変化を見せることができた背景には、昨オフ球団にメジャー挑戦を直訴してOKをもらったことが挙げられる。どのような約束があるかまでは知らないが、数字を残せばメジャー挑戦の背中を押してもらえるという目標が菊池を強くさせている。

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