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北海道ファンの気持ちをつかんだ大田泰示。新天地で生き残れ!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#50】

ファイターズはようやく主力が戻り、反撃態勢を整えつつある。その中でも、今季からチームの一員に加わった大田泰示の存在感が光る。

2017/05/06

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大田の存在感

 で、大田泰示について書きたいのだ。大田の存在感が増している。巨人ファンが待ち続けた未完の大器。原辰徳監督(当時)が惚れ込み、松井秀喜の「55番」を与えた男。昨オフの大型トレード「吉川光夫、石川慎吾⇔大田泰示、公文克彦」は巨人、日ハム両チームのファンを驚かせた。大田はこのトレードに懸けたのだ。キャンプから気持ちを出していた。それで入れ込みすぎたのかもしれない、オープン戦で左わき腹を痛め、開幕1軍を見送ることになった。チームはケガ人続出で大きく出遅れる。これは悔しい思いがあったろう。
 
 戦列復帰してからその姿が話題になった。4月23日西武戦だ。2回無死二塁で「6番・大田」のパリーグ初打席がめぐって来る。皆、豪快な長打をイメージした。それがショート内野安打だった。一塁ベースにヘッドスライディングだ。ベルトがちぎれた。間一髪セーフ。替えのベルトを受け取りながら、照れくさそうに、けれど嬉しそうに笑みを浮かべた。僕らは「大田すげぇ」だ。連敗中のチームでいちばん気持ちを見せてくれたのが大田泰示だった。
 
 見るべきはその純度の高さである。ひたむきに生き残ろうとしている。これが大田か。感動した。もう考えてることがストレートに伝わってくるじゃないか。泥臭くていい。何でもいい。自分に野球をやらせてほしい。仕事をさせてほしい。
 
 大砲三門の話でいうと、まだ大田は4月29日楽天戦のソロホームラン1本だ。「気持ちのヒット」が目立つ。それから中田、レアードにも言えることだが、ひっかけてゲッツーもある。ゲッツーは反面、強打者の証しでもあるから、織り込んで見ていくしかない。

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