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山中、鵜久森らが奮闘。ヤクルト浮上のカギ握る「パ・リーグ育ち」の男たち

4月12日の中日ドラゴンズ戦に敗れ、これで6連敗の東京ヤクルトスワローズ。そんな中で気を吐いたのは、先発の山中浩史投手であり、今季初スタメンの鵜久森淳志外野手であった。彼ら2人の共通点──それは共に「パ・リーグ育ち」ということだ。

2017/04/13

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大引、大松、坂口、近藤……「パ・リーグ育ち」が適材適所で見せる働きがカギ

 彼らだけでなく、過去を振り返ってもパ・リーグ育ちの選手がヤクルトで活躍した例は少なくない。最近でいえば、前出の川島慶三も08年に日本ハムからトレードで来て、正遊撃手として活躍した選手。川島と一緒に移籍してきた押本健彦も、セットアッパーとしてブルペンを支えた。
 
 さらに時代を遡ると、03年にリーグ5位の打率.317をマークした鈴木健(03~07年=元西武)や96年に打率.333でリーグ2位に食い込んだ辻初彦(96~99年=元西武、現西武監督)、移籍後3年連続2ケタ勝利を挙げた吉井理人(95~97年=元近鉄バファローズ、現日本ハムコーチ)や代打の切り札として重用された金森栄治(93~96年=元西武ほか)などは、それまでの所属球団での活躍もさることながら、ヤクルトでのプレーを鮮明に覚えているファンも多いことだろう。
 
 また、先発として01年のリーグ優勝、日本一に貢献した入来智(01~02年=元近鉄ほか)、移籍後に正二塁手となった城石憲之(98~09年=元日本ハム、現日本ハムコーチ)、99年に主に先発で9勝した高木晃次(98~01年=元阪急ブレーブスほか)、同じく99年に25試合連続安打の球団新記録を樹立した佐藤真一(96~05年=元福岡ダイエーホークス)、2年連続で2ケタ勝利&オールスター出場の田畑一也(96~99年=元ダイエー、現読売ジャイアンツコーチ)などは、ヤクルトに来て花開いた選手たちだ。
 
 今シーズンも、ヤクルトには山中と鵜久森以外にもチームを支えている「パ・リーグ育ち」がいる。オリックス、日本ハムを経て15年にFA移籍してきた大引啓次は、ヤクルト3年目の今シーズンも開幕から正遊撃手としてプレー。昨年限りで千葉ロッテマリーンズを戦力外となり、今春のキャンプで入団テストに合格した大松尚逸は、9日の広島東洋カープ戦(マツダ)で逆転の2点二塁打を放つなど、代打の切り札的存在になっている。
 
 昨年は移籍1年目でコンスタントに3割前後の打率をマークしていた坂口は、インフルエンザのために10日付けで出場選手登録を抹消されてしまったが、今年も打線には欠かせない存在だ。その坂口と共に現役では数少ない近鉄OBであり、昨季途中に八木亮祐とのトレードでオリックスから移籍してきた近藤一樹は、11日の雨天中止のあおりで13日の先発予定が白紙になってしまったものの、今後も先発のスポットで期待される。
 
 さらに、左内転筋肉離れで出遅れた成瀬善久(元ロッテ)、甲状腺機能低下症と闘う今浪隆博(元日本ハム)も、ファームで捲土重来を期している。
 
 今のヤクルトにあって、投では石川雅規や小川泰弘、打では山田哲人、ウラディミール・バレンティンらが柱なのは間違いない。だが、先に挙げた「パ・リーグ育ち」の選手による適材適所の働きも、今後の巻き返しを図る上では重要になってきそうだ。

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