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楽天、好調の要因はどこに? CS進出の期待感、岸加入は大きいがそれだけでなく…【小宮山悟の眼】

東北楽天ゴールデンイーグルスが開幕から好調だ。9日試合終了時点で7勝1敗でパシフィック・リーグのトップに立っている。昨季まで則本昂大投手というエースはいたが、今季からそこに岸孝之投手が加わることで投手陣は厚みを増した。

2017/04/10

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相乗効果でいい状態に

 岸が来たことによって、選手たちが「今季は何とかなるかもしれない」という空気感になる。昨季までは、則本昂大というエースがいるとはいえ、チーム全体の先発陣という視点では頼りなかった。
 
 チーム全体が「大丈夫だろうか」という不安を抱えながら戦っていた。そこに1枚のエースクラスが加わると、チーム全体が「今季は行ける」という気持ちになる。これは、実は非常に大事なことで、彼が加入したことの一番大きな影響であると思う。
 
 則本と岸がいることによって、3連戦の頭に勝てるようにしていけば、2勝1敗という形をつくることができると考えると、そこに余裕が生まれる。そのなかで開幕シリーズでは打線が好調だった。いいハマり方をして、相乗効果になっていい状態になったと言える。
 
 指揮官の梨田昌孝監督はこれまでの2球団で就任2年目に優勝を果たしている。梨田さんはあまり怒らない人で、選手がのびのびできる環境を作ることに長けている。「自分がこうでなければ気が済まない」というスタイルではない分、選手の力をうまく見極めて、馬なりでペナントを取っていくタイプだ。もちろんキャリアも十分で、自軍の選手と相手選手を比較しながら、ゲームプランを練っていくことが本当にうまい。
 
 これからは今のいい状態から、何かが欠けてきた時にどうなるかが問われる。そこがチーム力というものだ。例えば先日、ソフトバンク・デスパイネのスイングしたバットが捕手・嶋基宏の頭に直撃した。嶋は楽天にとっては重要な選手だ。今回は大事に至らなかったようだが、そういうチームバランスが欠けたときに、どうできるかが大事だ。
 
 総合的に強いと言われるソフトバンクや北海道日本ハムファイターズは、その部分を乗り切る力を持っている。能力的に高く、経験値の高い選手がいるので、勝ち切ることができる。楽天はズルズルいく可能性をはらんでいるので、そうならないようにできるかだ。
 
 現時点では「楽天、今はいい」といういい方になるが、昨季のカープも、そんな言われ方をしながら、最後まで勝ちきった。楽天にもその可能性はあるわけだから、これからも彼らの戦いぶりを見守っていきたい。
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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