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侍Jにも3人選出。大阪桐蔭の出身者はなぜ伸びるのか? 3年間は“通過点”、燃え尽きさせない指導法

大阪桐蔭高校出身のプロ野球選手は数多くいる。阪神タイガースの岩田稔投手、西岡剛内野手、埼玉西武ライオンズの中村剛也内野手、浅村栄斗内野手、森友哉捕手、侍ジャパンに選出されている中日ドラゴンズの平田良介外野手、北海道日本ハムファイターズの中田翔内野手、阪神の藤浪晋太郎投手らだ。プロでも第一線で活躍する選手を輩出する理由はどこにあるのか。名将の指導法に迫った。

2017/02/27

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更なる進化を追い求める選手が多い

 毎年、京セラドームで行われる日本選手権にもチームで観戦に出かける。今年もOBが投げ、OBが打つ試合を目にし、そこでまた社会人野球のレベルの高さや一球にかける全力プレーの姿に触れた。
 
 そういえば、森が高校3年時、夏前まで進路の話になると真顔で社会人野球の世界への憧れを語っていたことがあった。既にプロ大注目の時に「あの中でやってみたい」と話していたのだ。
 
 一球にかける空気に感じるものがあったのだろうが、それも社会人の世界をしっかりイメージできたからこその思い。そんな思いを持って大阪桐蔭での3年間を過ごした森も、野球に関し、決して緩むことはなかった。
 
 OBの話ということで言えば、寮にはスポーツ新聞を置き、プロだけではなく、大学生や社会人野球の情報にも触れさせるようとしている。時には新聞、雑誌に載った先輩たちの記事に西谷監督がマーカーでラインを引き、張り出すこともある。
 
 とにかく、ここが終わりではない、通過点というと軽いが高校生活は野球人生の半ばである、という意識をしっかりと選手たちに持たせる。まだまだ先がある、上があることを実感としてわかっているから、日々の練習で積み上げるしかない、となる。
 
 だから素材豊かな選手たちが安易に天狗になるようなこともなく、伸び続けることになる。高校時代の藤浪は「まだまだです」というのが口癖だった。どれだけ投げ、どれだけ注目されても、愚直なまでに「まだまだです」と繰り返していた。
 
 おそらく藤浪は今、話を聞いても高校時代と変わらぬ調子で「まだまだ」と繰り返すのだろう。満足することなく、日々積み上げることが成長するための唯一の手段だと体験として知っているからだ。今年も新フォームに挑戦し、更なる進化へ向け、歩みを止めることはない。
 
 同じ沖縄では中田も10年目のシーズンを前にオフから新たなトレーニングに取り組み、スケールアップに挑んでいた。また平田も30歳となるシーズンへ向け、もう一度、長打、飛距離にこだわるバッティングに挑戦していた。
 
 今回、3選手の日本代表入りも、素質に溢れた野球少年だった彼らがプロの世界でもなお、目線を落とすことなく求め続けてきたからこその結果だと思える。そして、その意識、姿勢を習慣づける環境が大阪桐蔭の3年間の中にあった……、そういうことなのだろう。

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