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「代走屋」以上に価値あるスタメン起用。五十幡亮汰を我慢強く育てる新庄采配【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#251】

足のスペシャリスト・五十幡亮汰の打撃が開花しつつある。結果を出し続けレギュラーに定着することはチームにとっては1回きりの代走起用以上に価値がある。

2025/06/15 NEW

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産経新聞社



圧倒的な能力がある

 五十幡亮汰が「打」のヒーローとしてヒーローインタビューのお立ち台に立った。6/12のヤクルト3回戦、2番センタースタメンの五十幡は4打数3安打2打点と打棒爆発、走者としては偽装重盗を成功させ、かつタッチアップの生還2、お立ち台に呼ばれなかったらおかしいというくらいの大活躍だ。
 
 五十幡のバッティングが見違えるほど良くなった。実は6/7DeNA戦(2回戦)でも5打数3安打2打点と「猛打賞」の活躍を見せている。この日、僕はハマスタ内野席にいたので、五十幡の快打、俊足を思う存分味わうことができた。そもそも中大の後輩なので東都大学野球の頃から応援している。プロで花開く日を待っていた。もっともDeNA戦は「6番ピッチャー山﨑福也」が投打で目立ってしまったので、五十幡のお立ち台はなかった。
 
 五十幡はずっとバッティングにフォーカスしてきた。キャラクターは明るいけれど、突き詰めるタイプだと思う。僕なんかはたまに早めに球場に行って、打撃練習を見、どういうアプローチをしているのか想像するだけだが、キャンプから一貫してずーっと考え続けている気配がある。まじめなのだ。そして、「自分の課題を見つけ、長い期間、ずーっと取り組むことができる」のは「俊足である」のと変わらないくらいプロ選手としての美点だ。僕は2軍を見るのが好きで、30年くらい鎌ケ谷に通ってきたが、抜群の身体能力を持ちながら消えていった選手の多くは「課題を突き詰められない」タイプだった。逆に言えば「抜群の身体能力」でお山の大将でいられたのだ。
 
 五十幡亮汰はもちろん「抜群の身体能力」を持っている。下手したら「足が速い」で終わりかねないほど、圧倒的な能力だ。そして、ファイターズにこれまで何人、「足が速い」だけで消えていった選手がいたことか。それは武器だけど、そこで満足したら先がない。課題ははっきりしていた。バッティング。五十幡って打てなかったでしょ。本人はいっしょうけんめいだった。バット軌道を考えたり、タイミングの取り方を考えたり。今シーズンなんて最初は天秤打法(昭和の野球ファンには近藤和彦を想起させる!)にトライしていた。試行錯誤の上に現在の好調なバッティングがある。

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