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自動車教習所の教官からプロへ――信樂晃史が叶えたい夢「安全運転の尊さを伝えたい」【マリーンズ浦和ファーム通信#27】

2015年ドラフト6位でマリーンズに入団した信樂晃史は、社会人野球時代は自動車教習所の教官を務めていたことで話題になった。そんな信樂だが、入団後はプロの壁に戸惑い、悩まされた。

2016/08/29

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千葉ロッテマリーンズ



入団して露呈したスタミナ不足

 今でも車を運転していると道路標識に注目をしてしまう。自然と、標識の意味を口ずさむ。抜けない癖だ。ドラフト6位でマリーンズに入団をした信樂晃史投手は社会人野球時代に自動車教習所の教官をしていたことで注目を浴びた。

「懐かしいですね。今は8月で夏休みだから、教習所は繁忙期ですね。合宿生が多いので朝から夜まで大変です」

 そう言うと、教官を務めながら野球を続けていた1年前を思い返した。なんとか野球を続けるため、福岡大学から野球部のある梅田学園に入社した。配属先は日ノ出校の自動車教習所。そこでは野球をするだけではなく、教官になることも必要とされた。午前中に練習をして、午後から勤務。そして仕事が終わり、教官に合格するための猛勉強に明け暮れた。徹夜をして翌日、グラウンドに足を運ぶこともあった。そんな努力が報われ、見事、試験に合格をすると、長い時間で午後から21時まで自動車学校の教官を務めながら、都市対抗本大会出場を目指してボールを投げる日々が続けた。

「仕事が忙しくて、全体練習はほとんどしていませんね。大会の1週間前ぐらいから、ようやくできるぐらい。あとは個別練習。今みたいな繁忙期は、野球はほとんどしていません」

 プロ入り後、最初に戸惑ったのは練習量の差だった。仕事の合間の練習ではなく、朝から夜まで野球漬けの日々。先にプロ入りした選手や、練習に専念して入団した選手との差は歴然だった。石垣島での春季キャンプではスタミナ不足を指摘された。苦しい日々だった。

M51shigaraki

「今まで毎日、1日中、野球をやってきたことがなかったので、やはり戸惑いました。どうすればいいかも分からないし、どのように状態を維持することができるかも分からない。プロ野球は毎日、野球をする。その中でどうやって自分のパフォーマンスを毎日、しっかりと発揮できるかが分からなくて悩みました」

 球種はフォークにスライダー、カーブ。しかし、スライダー、カーブは早々にプロでは使いものにならないと判断された。ただ、決め球であり、癖玉でもあるフォークもまた社会人時代のようには思うようには決まらなかった。少しシンカー気味。右打者の内に落ちたり、左打者の外に逃げるように落ちることから、社会人時代は必殺のボールとして多投したが、プロでは二軍でも見逃されることが多くなった。スイングをしてくれてもバットで拾われて、打たれた。キャンプが終了し、オープン戦期間が終わるころには疲労が蓄積。ストレートも140キロ台を出すのが精いっぱいだった。スタミナ不足、球種不足に球威不足。プロの厚い壁に悩む日々だった。

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