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ドラ2佐野泰雄、大成の予感――『知』でプロの世界に挑む【中島大輔 One~この1人をクローズアップ】

ある試合の象徴的なワンシーンを切り抜き、その場面の選手の心理や想いを取り上げる連載企画。今回は、今秋のドラフト会議で埼玉西武ライオンズから2位指名を受けた佐野泰雄だ。11日の埼玉西武ライオンズの新入団選手発表会に、ある視点をもって取材に臨むと、その視点と、佐野が見事に一致したのである。

2014/12/16

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新入団選手発表会で目に留まった、ある選手の好きな〝言葉〟

 ドラフト上位で入団し、期待通りの成績を残してスターになる者がいる一方、活躍できずに球界を去っていく選手もいる。両者の違いは、どこにあるのだろうか――。

 先日、1992年バルセロナ五輪で日本代表を銅メダル獲得に導いた山中正竹氏を取材していて、そんな話になった。
 山中氏は現役時代に東京六大学史上最多の48勝を挙げ、監督としては母校の法政大学や住友金属を日本一に導いた。現在は法政大学特任教授として、リーダーシップや監督業を突き詰めている。

 横浜ベイスターズ(当時)で専務取締役を務めたこともある山中氏は、活躍する者とそうでない者の違いをこう指摘する。

「できるだけ広い知識を持ち、それを使って工夫する。考えることを習慣化し、主体性を持って取り組む。それを継続的に行う。スポーツはそうした『知』の勝負だ」

 2014年12月11日に行われた西武のドラフト新入団選手発表会を、そんな視点で取材してみた。

 球団から配られた資料で目を惹かれたのが、ある選手の挙げた好きな言葉だ。

「武士は食わねど高楊枝」――。
(たとえ貧しい、苦しい境遇にあっても、それを表に出さず気位を高く持って生きるべきだという意味だ)

 そう書いたのが、ドラフト2位左腕の佐野泰雄だった。

 母の祖国・タイで生まれた佐野は、2歳のときに父の母国・日本にやってきた。所沢に近い埼玉県和光市で高校時代をすごし、牧田和久の出身校でもある平成国際大学に進学後は1年時から出場機会を獲得。4年時の2014年春に関甲新リーグで7勝を挙げて最多勝とベストナインに輝くと、秋には通算30勝を達成してリーグ新記録をマークした。

 会見で佐野の話を聞いていて印象的だったのが、思考が「立体的」であることだ。対戦したい選手について聞かれると、佐野はこう答えている。

「まずは西武ライオンズの投手陣の中の競争を勝ち抜かなきゃいけないと思うので、まずは競争に勝って、各球団の4番バッターと対戦できる立場になりたいと思います」

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