山﨑福也8年ぶりの完封。「苦手投手」戦を制した、初回の狙い打ち【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#249】
5月16日のロッテ戦はロッテを得意とする山﨑福也が先発。一方ファイターズは今季すでに2敗を喫している田中晴也をどう打線が攻略するかがポイントだった。
2025/05/18
産経新聞社
初回で試合を決めた
試合。田中晴也は立ち上がりに失敗した。制球が定まらず、苦し紛れのストレートを痛打される。ファイターズは初回だけで4安打3得点。これは助かった。まぁ、5/16時点でハムは首位、ロッテは最下位であり、打線の勢いがそもそも違うのだが、この回に関してはひとり相撲というべきで、「あ、この投手真っすぐしかないな」と思えば少々速くてもプロは打ち返す。立ち上がりの悪さは本格派の泣きどころではあるのだが、それにしてもストレートをホームベース手前に叩きつけたりしてたから寺地もリードに窮しただろう。
田中晴也はその後立ち直り、6イニングを被安打6、失点4(106球)でまとめたから、初回の3失点がなければ、1-0で試合をつくったことになる。これはファイターズ打線としては「見事に攻略」したのか「やっぱり調子が出てくると苦手」なのか難しいところだ。ただ初回、1番郡司裕也がポテンヒットで出塁し、2番淺間大基が悪くないレフトフライ、3番レイエスがセンターへクリーンヒットと、カンカンカンッと弾き返し、田中-寺地バッテリーをあわてさせた面はあったと思う。投手は初回、どの球が使えてどの球が良くないか調子を見極めるものだ。その余裕を与えないうちにカンカンカンッと狙い打ちした。僕は「落ち球は捨てろ、まっすぐだけ狙え」ぐらいの指示があったかなぁと想像しながら見ていた。
では、山﨑福也はどうだったか。結論を言うと「8年ぶりの完封勝利(被安打7、122球)」だ。GW連戦でリリーフがへばっていたから、1人で投げ抜いたのはありがとうとしか言いようがない。そのピッチング。とにかくテンポが速かった。ロッテの打者に考える暇(いとま)を与えず、ポンポン簡単に追い込んでいく。それは初回の田中晴也の話とも通じる気がした。相手が頭を整理する前にこっちのペースに引きずり込んでいく。右打者のアウトコースの出し入れ。緩急の使い方。チェンジアップとツーシームと落ち球とスライダー。山﨑-伏見の引き出しの多さがハンパない。ロッテ打線を翻弄した。いや、あんなにスイスイ投げられたら楽しいだろう。
ロッテ打線は確かに完封負けの試合が続いていたが、前日は東京ドームで楽天に打ち勝っている。ソトにホームランが出て、ちょっと心配であった。が、山﨑福也はソト、ポランコを完璧に封じ込める。藤岡裕大がマルチヒットで出塁したが、打線の繋がりを断ち切った。
附記 この日はロッテファンのプロレスラー、ワイルド・ベアーさん(バリアフリープロレス「ZERO」)と呉越同舟観戦であった。ワイルド・ベアーさんは文化放送のヘビーリスナーで、『くにまるジャパン極』の僕のラジオコラムを聴いて山田うどんに走ったりしていたそうだ。この週、野村邦丸アナはがんの摘出手術&入院から番組復帰したばかりで、つい「くにまるさん復活うれしいねー」「声も元気そうでよかったです」と話し込んでしまう。ちなみに↑のカモと苦手の話題については「苦手意識を持ってもらうとどんなにやりやすいか、去年の西武戦でウチがいちばん知ってるはずなんですけどね」との見解。
附記2 ワイルド・ベアーさん、ZOZOマリンのカン高い声を出すコーラの売り子さんに「おお、まだいるんだなぁ!」と反応してた。わかりますよね、男性のよく通る声のコーラ売り。