大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



チャレンジ制度導入準備を――コリジョン新基準適用も、本塁上のビデオ判定は減らない?【小宮山悟の眼】

22日から、コリジョンルールが新基準で適用開始となった。しかし、新基準関係なく本塁上におけるビデオ判定は減ることはないだろう。

2016/07/27

text By

photo

Getty Images



来季はまた新ルール導入が予想される

 密室で検証するお詫びのような形で、判定後に、審判がマイクを使って場内に説明をするが、問題となったプレーの映像を映すほうがよほど説得力があると思う。
 
 メジャーリーグの審判は、ビデオ検証で判定が覆ったとしても、平然と自分が下したのと逆の判定をコールする。「間違えて申し訳ない」という様子は微塵もない。
 
ファンを気遣う姿勢を否定するつもりはないが、日本の審判団は、もう少しメジャーの審判たちの図々しさを見習ってもいいのではないか。
 
 前回に詳しく説明したように、NPBではメジャーリーグより1年遅れで新ルールが導入される仕組みになっている。この流れでいけば、今季からメジャーで導入されているアトリールールを、日本でも来年から取り入れることになるだろう。
 
 アトリールールとは、テハダルールとも呼ばれ、簡単にまとめると、併殺を防ぐために、ランナーが2塁ベースへ危険なスライディングをすることを禁止するルールのことだ。
 
 すると当然ビデオ判定の対象となるプレーの範囲も広がるはずだ。だからといって、際限なくリプレー検証するわけにもいかない。遅かれ早かれ、チャレンジ制度も導入することになるだろう。
(※チャレンジ制度とは、ストライクかボールかのジャッジ以外の判定に対し異議がある場合、6回までに1度、7回以降から試合終了までに2度、ビデオ判定を要求できる権利が与えられる制度。チャレンジが成功した場合は、再びチャレンジ権を得ることができる)
 
 チャレンジ制度が導入されることになれば、ビデオ判定の公平性や迅速性を保つため、メジャーリーグと同じように、試合のプレー映像を1カ所で管理して判定を下すシステムが求められるかもしれない。
 
 そうなれば当然、莫大な資金が必要だし、日本の場合、地方球場で公式戦を開催するという問題も出てくる。
 
 世界的な視点から見て、試合中に映像によるリプレー検証を採用する流れは止められない。その流れの中で、実際にプレーする選手と、試合を観戦するファンが納得できるシステムを築き上げるか。それが今後、NPBが取り組むべき課題の一つになるだろう。

―――――――――――――――――――――――

P88 S0401660

小宮山悟(こみやま・さとる)
 
 1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

1 2 3