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根本悠楓、今シーズン大注目の理由。活路を見出した投球フォーム変更【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#219】

来月の侍ジャパン強化試合でアジアチャンピオンシップに続き、根本悠楓が代表入りを果たした。昨シーズンのラスト登板となった韓国戦では素晴らしい投球を披露したが、この試合をきっかけに今季、根本にはチームの先発陣の一角としての活躍が期待される。

2024/02/18

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産経新聞社



今年は2ケタ勝利を

 が、「投球ビタビタ」には理由があった。単に大舞台に強いのではなかった。何と根本悠楓はシーズン終了後の10月、投球フォームを変えていたのだ。11月のアジチャンで「投球ビタビタ」をもたらした変更点とはショートアームだった。
 
 ショートアームというのは投球の際、テイクバックを大きく取らず、ヒジを曲げて、あらかじめトップの位置をつくる方法だ。それまで根本はテイクバックが大きくて、勢いがつく代わりにリリースポイントが定まらないきらいがあった。感覚的に一定を心掛けていても、身体の疲れなどでズレが生じる。それを微調整しながら投げるからどうしても球数が増え、カウントが悪くなった。ショートアームの利点は腕の使い方がコンパクトになり、コントロールが良くなることだ。根本は加藤貴之ら先輩の投球を見て、ショートアームを取り入れようと考えたのだという。誰かにアドバイスされて従ったのではなく、あくまで根本個人の研究心のたまものらしい。
 
 それが(シーズン後の)たったひと月で身について、アジチャンの大舞台の活躍につながった。「投球ビタビタ」が阪神ファン親子の賛辞を呼んだ。もちろん「絶対打たれない」根本は今季、パの各球団の脅威となるだろう。飛躍のときだ。先発ローテに食い込んでほしい。「絶対打たれない」で2ケタ勝ってほしい。
 
 昔、ファイターズのエースだった木田勇氏を取材したとき、「後ろが小さく、前が大きい左腕エースを育ててみたい」という話をされてたのを思い出す。木田さんはその頃、ユニフォームを脱いで、解説の仕事をされていた。デビューイヤーに投手タイトルを総ナメにしたサウスポーは理想のフォームを「後ろが小さく、前が大きい」と表現したのだ。この「後ろが小さく」のところが今でいうショートアームだ。腕がピュッと出てくるから打者はタイミングが取りづらい。武田勝のようにトップを作ったとき、身体の後ろに隠してしまう芸達者もいる。そして「前が大きい」というのは、リリースポイントが前ということ。なかなかボールを離さないのだ。下半身が粘れている。
 
 思えば木田勇氏も根本同様、そう大柄なタイプじゃなかった。まぁ、木田氏のキャリアハイは22勝8敗4セーブ(19完投、253.0イニング)、勝率.733、防御率2.28と驚異的だが、根本悠楓にも1年ローテに食い込み、それを守って、2ケタ勝利&150イニングを達成してほしい。ていうかいけるんじゃないかな。今、懸念材料はスタミナだけだ。3月の侍ジャパンでもまた大いに名を売ってもらいたい。自分のスタイルを見つけた根本悠楓に大注目なのだ。

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