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学生生活最後の大勝負、進藤・宮崎らドラフト指名組から目が離せない11月【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#212】

今年のドラフト会議が終わり、11月は指名を受けた学生が最後の大舞台をかけてしのぎを削る。来季ファイターズの一員となる選手たちの活躍に注目している。

2023/11/11

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産経新聞社



レベル高い外野のレギュラー争い

 11月に入ってファイターズファンは忙しい。秋季キャンプがエスコン、鎌ケ谷、国頭と3か所で行われ、無料で見にも行けるし、GAORA等で中継もしてくれる。宮崎の侍ジャパンキャンプには万波中正、根本悠楓に加え、野村佑希が追加招集されている。これも練習試合の配信があって大変気になる。と思うと秋は大学野球のシーズンだ。横浜市長杯、明治神宮大会、東都大学リーグ入れ替え戦に今年のドラフト組が出場する。こちらは学生生活最後の大勝負だから、秋季キャンプより味わいが濃厚だ。絶対に見ておきたいじゃないか。
 
 というわけで僕は11月6日からの4日間、横浜市長杯にクギ付けだった。これは「関東地区大学野球選手権」であり、神奈川県大学野球連盟、千葉県大学野球連盟、首都大学野球連盟、東京新大学野球連盟、関甲新学生野球連盟という5連盟の上位校が激突する大変興趣に富んだ大会だ。優勝校、準優勝校は明治神宮大会への出場権を得る。こう、何というか関東甲信サイズの「ミニ明治神宮大会」「プレ明治神宮大会」なのだ。関東の学生野球ファンには絶大な人気がある。で、今年は関甲新学生野球連盟の2校からファイターズのドラフト上位指名選手が出た。上武大学(群馬)にドラ2進藤勇也(捕手)、山梨学院大学(山梨)にドラ3宮崎一樹(外野手)。トーナメントのヤマが別々だからうまくすれば決勝で「日本ハム対決」(日刊スポーツが見出しをつける)が見られるところだった。
 
 山梨学院大の宮崎一樹選手は右投げ右打ちの外野手だ。その俊足は大学球界でも知られていて、このところの大卒組で言うと五十幡亮汰、矢澤宏太に匹敵する走力の持ち主だ。3人並べたらファイターズの外野は簡単には抜けないだろう。もちろんゴールデングラブの万波中正、超美技連発の江越大賀もいるわけでグッと層が厚くなった。同タイプの大卒3人のなかでは「スピードに勝る五十幡」「打力に秀でた矢澤」「守備力バツグンの宮崎」という、それぞれのストロングポイントになるだろうか。実際、落下点へたどり着く早さ、肩の強さは出色だった。バッティングは今大会、もうひとつパッとしなかったが、他の2人と違って右打ちという特徴がある。松本剛、淺間大基と実力者ひしめく外野陣に割って入るのは容易じゃないが、非常に魅力のある選手だと思った。読者に無理矢理、イメージを作ってもらうとしたら「岡大海の再来」だ。走攻守すべてにレベルが高く、出力が大きい。もちろん日米大学野球で侍ジャパン入りしている。
 
 宮崎君に関してひとつ「遅れを取った」と思っているのは、彼のご実家が日野市でお蕎麦屋さんをやってるそうだ。で、もう既にファイターズファンが食べに行ってるらしい、それをスポーツ紙の報道で知って、やられたと天を仰いだ。そういうことをいち早くやりそうなのがえのきどではないか。お蕎麦屋さんとは気がつかなかった。しかも、報道によると宮崎選手自身はお蕎麦は食べられないそうじゃないか。じゃ、宮崎君の分まで僕が食べるからお気づかいなく。いや、実際はスピード感のあるファンが(のろまな僕をおきざりにして)宮崎君の分まで食べていたらしい。キーワードは「スピード感」だな。いつか日野市のお蕎麦屋さんは僕も行くんで大目に見てほしい。あぁ、このオフの目標ができた。これからの季節は鴨南蛮かなぁ。
 
 山梨学院大は2回戦の創価大戦、何と9回2死から追いついて、延長タイブレークを制し初の準決勝進出を決めた。これは本当に決勝で「日本ハム対決」かと色めきたっていたら、準決勝で日体大に敗れてしまった。宮崎君のバッティングは最後まで精彩を欠いた。悔いはあるだろう。が、学生野球は終わっても、次はプロがある。やり足りない思いはプロで晴らしてほしい。

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