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吉田輝星、新球場シーズンで飛躍の1年に。確かな成長を見せた先発3イニング【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#193】

吉田輝星が先発として、キューバ代表相手に好投を見せた。かつての「甲子園のスター」はプロで着実に技術を磨き、現在進行形で進化を遂げている。今シーズン、チームにとってもちろん大事な戦力となる。

2023/02/18

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産経新聞社



いずれは先発でチームの柱に

 じゃ、今年からホームランの出やすくなる「バッターズパーク」で打ち勝っていけるのかといえば、そう単純ではない。むしろ三振の取れる、強いリリーフ陣が必要になるはずだ。輝星は1イニング任されるセットアッパーとしては、それなりに実績を積んできた。ストレートがしっかり指にかかり、フォークが抜けなければ、まさに「三振の取れる」中継ぎだと思う。
 
 だけど、キューバ戦の輝星は成長した姿を見せてくれた。グラシアル、デスパイネ、ドレイク、ギジェルモ、そして前述のマルティネスと日本野球を経験しているキューバ打線を相手に3回無失点、被安打1の快投だ。初回こそ球がバラついたが、修正してみせたのはポイントが高い。
 
 評価すべきは外角ストレートのコントロールだ。球速はマックス148キロとそんなに出てないが、投手は球速よりもコントロール第一だ。特に右打者の外角低めは「マネーピッチ(銭の取れる投球)」だった。投手にとっては「困ったときの外角低め」だ。打者の目線からいちばん遠く、ミスショットしやすいコース。「内・外角の投げ分け」もそうだが、輝星は「アウトロー」を磨いてきたのだ。もはや勢いまかせに投げていたワカゾーではない。
 
 正直、勝てるローテ投手になるためにはもう少し投球に遊びがあったほうがいいと思うし、二巡め三巡めを抑えるバリエーションも必要だけれど、僕は輝星、いいセンいってると見た。今シーズンに限っては石川直也を中心とするリリーバーの一角を占めてもらう可能性が高いが、いずれ先発を任されるに違いない。
 
「甲子園のスター」が落ちぶれてみじめな姿をさらす物語が好きな人には恐縮だが、しっかり成長している。プロで仕事をする技術・武器も身につけている。そりゃ松坂大輔や村上宗隆ではないかもしれないが、うちの大事な戦力だ。しかも伸びしろがあって、これから「新球場」で飛躍する。
 
「エース吉田輝星、4番清宮幸太郎」はまだ夢見ていたい。仮にそれが「先発の2番手・輝星、5番清宮」になったっていいじゃないか。プロで食っていけるだけでどれだけすごいことか。吉田輝星、楽しみしかない。それがキューバ戦を見た率直な感想だ。

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