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清水優心、奮起せよ! 報道から考える、現役ドラフトの位置づけの難しさ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#188】

初の現役ドラフトが終了、ファイターズは西武から松岡洸希を獲得した。しかしこのシステムが採用された経緯や今回の一連の報道を振り返ると、何か釈然としない思いがある。

2022/12/11

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産経新聞社



やるしかない!

 で、現役ドラフト実施が決まって、皆、清水優心を思い浮かべたのだ。例えば当ベースボールチャンネルも「現役ドラフト注目選手」という扱いで清水の記事を掲載した。書き手は僕じゃなかったけれど、記事が出るのは仕方ないと思った。FAで捕手が入ってくるのだ。しかも、元中日のアリエル獲得の新聞辞令も出た(稲葉GMは否定している)。そりゃ捕手が出されるのかなぁと考えてしまう。想像して、しょんぼり寂しくなっていた。いや、もちろん1シーズン頑張ってくれた古川との別れだって寂しいのだが、清水とのつき合いはずっと長いから。
 
 だから松岡獲得の「現役ドラフトっぽくないなぁ」は「いかにも現役ドラフトっぽい清水じゃなくてホッとしたなぁ」とくっついている。SNSでもファンの予想は清水が出されるだろうで衆議一決(?)していた。いよいよ明日、現役ドラフトという8日夜は気が重かったのだ。一ファンでさえこうなのだから、当の選手ら(これは清水というだけでなく、資格に該当した全員だ)は色々考えてしまったのじゃないか。
 
 現役ドラフトの位置づけが難しいのだ。選手からしてみれば「相手球団が本当に欲しいと思ってくれたならトレードになるはず」というひっかかりもある。「当日、たまたまリストに名前があったから獲った」はちょっと弱いのだ。望まれて出ていくには違いないが、少しモヤッとする。
 
 で、それは実際に現役ドラフトにかかった選手の話だ。清水の場合、「かかってもおかしくないと記事が出て、SNSで語られる」悲哀がある。心機一転というのでなく、ただ奮起を促されるような微妙さ。「少しモヤッと」どころじゃない。
 
 プロである以上、答えはひとつなのだろう。やるしかない。宇佐見を退け、伏見の仕事を奪う。清水は性格が穏やかで、闘争心をむき出しにするところがあまりなかった。僕は勝ちに行ってほしいし、獲りに行ってほしいのだ。ファイターズ全体のことを考えても、清水が目の色を変えて宇佐見、伏見に待ったをかけたらチームとしての躍進は疑いない。
 
 今はリードだけ良ければ打撃に目をつぶるという時代じゃないから、清水は打たなきゃきびしい。宇佐見も伏見もバッティングに自信を持っている。元々、大型捕手として清水もバッティングに期待された選手だ。芯でとらえるとズドンと一発がある。巻き返すにはハートだろうなぁ。(現役ドラフトでも、シーズン中でも)清水を案じ、気を揉み、応援しているファンは決して少なくない。ファンの願いがどうか届きますように。がんばれ清水優心。

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