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「看板スター」西川退団で一時代の終焉。若手チャンス、新スターは誰に?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#163】

今オフにファイターズは西川遥輝、大田泰示、秋吉亮を「ノンテンダーFA」とした。シーズン中に移籍した中田翔を筆頭に、これまでチームを支えてきた主力選手の退団によってチームは新しい時代へ突入する。

2021/12/25

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球界も騒然、主力選手のノンテンダーFA

 22日、西川遥輝の楽天入りが発表になり、同一リーグかぁと少々複雑ではあるけれど、彼のプレーがまた見られると思うと正直ホッとしたのである。ひと足先に大田泰示のDeNA入りが決まったから、これでファイターズが「ノンテンダーFA」の形で市場に出した3選手のうち、所属が決まらないのは秋吉亮だけになった。早く秋吉の落ち着き先も決まってほしいのだ。僕らファンも秋吉の所属が決まるまで何となく宙ぶらりんな気分だ。
 
「ノンテンダーFA」は大リーグ通には耳なじんだ用語らしいが、日本の報道ではもはや「日本ハムを自由契約になった西川遥輝」と、フツーに「自由契約」と表記されている。西川選手は楽天入り発表のタイミングで自身のブログを更新し、ファイターズファンへの感謝と新天地への抱負を語っているが、そのなかでも「自由契約」という言葉が用いている。
 
 ここでひとつ関心があるのは「ノンテンダーFA」という表現に実態があったのかどうかだ。僕は特別、大リーグ通ではないから「ノンテンダーFA」のイメージが血肉化していない。が、「戦力外=クビ」のネガティブなイメージとは違うらしいのだ。球団からするとコストに見合わない選手を契約満了にし、保有権を手放す行為だ。選手側にとっても行き先を自由に決められるメリットがあるそうなんだけど、事柄のアウトラインは「戦力外=自由契約」と大差ない。当初は選手と話し合って「ノンテンダーFA」に落ち着いたというニュアンスが伝えられたが11月下旬、ニッポン放送『The Deep』に出演した大田泰示によると、来季の契約提示、保留手続きを行わないとい一方的に告げられ、「頭のなかが真っ白に」になったそうだ。話し合いのニュアンスはない。
 
 大田のDeNA入団が正式発表になり、さっそくベイスターズファンのスポーツライター村瀬秀信さんと連絡を取った。とにかく僕としては「タイシをよろしくお願いします」だ。村瀬さんも「こちらこそよろしくお願いします。ベイスターズの大田泰示楽しみです」と返してくれた。で、そのあと傑作なことを言っていた。「僕はノンテンダーを、優しくないと直訳してたんですけど、違うみたいですね…」。あぁ、テンダーではないということか。即座にエルビス・プレスリーの『ラブ・ミー・テンダー』が脳内で再生され、じわじわ来た。ラブミー・ノーテンダー。
 
 話し合いで選手側の意思が尊重されたのかどうかは追い追い明らかになるだろう。ただ今回のケースが一般的な「戦力外=自由契約」と異なるのは、西川、大田、秋吉が戦力として計算できるところだ。まぁ、高給取りは高給取りで、今季それに見合う働きがあったのかといえばぜんぜん物足りない。が、断じて「戦力外」ではない。たまたま今季、成績が残せなかったというだけだ。そもそも西川遥輝は今季の盗塁王だ。そりゃパの盗塁王は4人いて、盗塁数もエンゼルスの大谷翔平の方が多いくらいだが、ファンターズの数少ないタイトルホルダーだった。それが保有権を手放した後だったせいだろうが、NPB表彰されてもそれをたたえる公式SNSの言及がなかった。とても寂しいことだった。

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