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斎藤佑樹、輝く時は再び訪れず。それでもその存在感は別格だった【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#157】

甲子園のスターとして脚光を浴びた「佑ちゃん」こと、斎藤佑樹が今シーズン限りで現役を引退する。プロではケガにも悩まされ、結果が出ずに苦しい日々が続き、あの輝きが再びよみがえることはなかった。

2021/10/02

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手放したくないという思い

 10月1日正午、日本ハム球団は正式に斎藤佑樹の現役引退を発表した。ついにこの日が来たかという感じである。右ヒジの故障を保存療法で癒し、今季はファームで勝ち星も挙げていた。が、率直に言って今後、大きな上積みは期待できない。気がつけばかつてコラムニスト中野翠さんに「市川雷蔵を思わせる」(『斎藤佑樹くんと日本人』文春新書)と称揚された甲子園スターも30過ぎだ。時は止まってくれない。1日午後、関東は台風16号の影響で荒天だ。僕の住む東京下町も雨が降り続いている。外へも出られないから、しばし机に向かい、斎藤佑樹の思い出に浸りたい。
 
 ここ何年、「なぜ斎藤をクビにしないのか!?」という厳しいファンの声があった。まぁ別に僕は球団の人間ではないし、それに答える義理もないのだが、それはやっぱり斎藤佑樹がスターだからなんだろうと思う。皆、忘れているのだ。「佑ちゃん」がどんなオーラに包まれて野球をしてきたか。僕は以前も書いたことがあるけれど、2軍で精彩のないピッチングをしたときでさえ、斎藤のマウンドには惹きつけられるものを感じていた。やっぱり別格の存在感なのだ。斎藤が投げると見てしまう。
 
 それは説明が難しいところだけど、ヤクルトがずっと伊藤智仁(現・楽天コーチ)を2軍に置き続けたのに似ていると思う。伊藤の放った光彩はハンパないのだ。あの高速スライダー。あの立ち姿。ヒジが壊れてしまったとわかっても、あの光彩は野球人なら絶対に忘れられない。もし、あれがよみがえったらと思うと手放したくない。夢を見てしまう。
 
 斎藤には伊藤智仁のような絶対的な球威はなかったけれど、スターの輝きという点では一枚上かもしれない。入団2年目で開幕投手を務め、見事に勝利してしまう天運がある。もし、あの輝きがよみがえったらと思うと手放したくない。いや、ホントに僕は球団の人じゃないから詳しく知らないけど、そんなところじゃないかと思うのだ。

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